不安定な収入を補うために、アルバイトもしているという

今も役者を続ける理由とは

今も役者を続ける理由

 17歳で単身上京し、「合わない」「辞めたい」という気持ちを乗り越え、続けてこられたのはなぜなのか。

「周りの説得もあったと思いますし、学園モノだと同年代の共演者が多くて、みんなと遊びに行ったりして、学生時代みたいで楽しかった、ということもありました。それから、『ピュア』の監督から『良いから何回も演じさせるんだ』と言っていただいたことが支えになったのかもしれません。

 その監督も相米監督もそうですけど、『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』の篠田正浩監督など巨匠といわれる監督さんや助監督さん、スタッフさん、いろんな方のおかげで多くのことを経験させていただき、教えていただきました。

 そして、いつの頃からか演じることを面白い、と感じるようになりました。作品ひとつひとつが、僕にとって意味があったと思っています」

 コロナが世界中に蔓延したときには、ピアノに挑戦し「戦場のメリークリスマス」を弾けるようになることで乗り越えたという鳥羽さん。これからについてはどう思っているのだろうか。

「理想はありますけど、これからどうしたい、というイメージはしにくいですね。コロナのときはみんな大変で、僕も不安にもなって、ただ一生懸命生きるしかないんだな、って。そして、今年は大きな地震もありましたし、しっかり生きなきゃいけないな、と気持ちを新たにしたところです。

 僕みたいな役者は、役を与えられて成り立つ仕事。まずは“与えていただいたものを一生懸命”──それが僕の今のテーマです」

後編に続く

 ◆取材・文/中野裕子 写真/山口比佐夫

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