角界にいられるのか
宮城野親方も平年寄に降格となったわけだが、問題は今後である。貴乃花親方は部屋が“お取り潰し”になることを察知し、弟子たちを信頼できる千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)に移籍させ、2018年10月に相撲協会へ退職届を提出して角界から去っていった。協会関係者はこう言う。
「協会の報告書では、〈宮城野については、師匠としての素養、自覚が大きく欠如していることが理事会で確認された〉と厳しい指摘がなされており、一時預かりで師匠としての立場を“剥奪”されたようなかたちだ。宮城野部屋も“お取り潰し”の可能性はゼロではない。白鵬には後ろ盾がいないばかりか、排除したいと思っている親方衆も少なくない。
貴乃花もそうだったが、大横綱のプライドが邪魔をして最下位の地位のままで居づらくなる。白鵬も、信頼する朝日山親方(元関脇・琴錦)か大島親方(元関脇・旭天鵬)に弟子を預けて角界を去る道を選ぶ可能性だってある」
大関・横綱経験者が引退すると、親方としては委員待遇からのスタートになる。それよりも下の平年寄は、借株の親方と同列の扱いになる。横綱経験者にとっては屈辱的なことだろう。前出・担当記者が言う。
「白鵬が今回の理事選には出馬せず大人しくしていたことで、伊勢ヶ濱一門から理事になった浅香山親方(元大関・魁皇)の代わりに一門代表として春場所との職務分掌で審判部に栄転となる予定だったが、これも白紙となった」
元横綱が平年寄に降格したケースは輪島、武蔵丸がいる。輪島は年寄名跡を担保に借金をしていたことで委員から年寄に降格し、1か月後に退職。横綱経験者は5年間、現役四股名で協会に残れる特例があるが、その間に年寄株を取得できず、借株で協会に残ったことで年寄に降格されたのが武蔵丸。引退から20年経っても元横綱でありながら序列33番目の委員で留まっている。
今回の平年寄への転落で「宮城野理事長」への野望は絶望的だという報道もあるが、武蔵丸のように一兵卒として協会に残るのか、貴乃花と同じ道を辿るのか。今後か注目される。