国内

逮捕者が出ても減らない悪質な客引き 「キャッチの店には絶対ついていかない」と元キャッチは語る

悪質な客引き根絶はたびたび呼びかけられているが、なかなか減らない(イメージ、時事通信フォト)

悪質な客引き根絶はたびたび呼びかけられているが、なかなか減らない(イメージ、時事通信フォト)

 自分たちの店へ客を誘う客引き、俗に「キャッチ」と呼ばれる路上など公共の場所での飲食店や風俗店への勧誘は迷惑行為として禁止され、処罰対象になっている。特に繁華街でのキャッチは、ぼったくり店舗への誘導になっていることが多く忌み嫌われているはずなのだが、いつまでも被害者がいなくならない。ライターの森鷹久氏が、今も被害を出し続けるキャッチ利用店舗と、キャッチ経験者に実態を聞いた。

 * * *
「みなさん、今日はお飲みですか? お店、もう決まってますか? タバコもお席で吸えます!」

 2月下旬の夕刻、東京・歌舞伎町の歓楽街を歩いていた筆者たちは、料理人よろしく前掛け姿にメニュー表を持った若い男に声をかけられた。東京都の条例で禁止されている「路上での声かけ」を行う、違法な「キャッチ」だ。筆者は、思わず「おたくは”トリキ”じゃないの?」と意地悪な質問をぶつけたが、男は「それはパクられるんで」と苦笑いするばかり。大手紙の警視庁担当記者が解説する。

「”トリキ”と呼ばれる人気の焼鳥居酒屋チェーン店『鳥貴族』を騙った違法キャッチが逮捕されました。トリキは人気店で席を取るのも難しいとされていましたが、逮捕されたキャッチたちはトリキの近くで、店に入れなかった客たちに声をかけ、トリキの系列店であるなど嘘をついて、別の店に案内していたとみられています。摘発後、トリキを騙るキャッチはいなくなったものの、悪質なキャッチは今も普通に歓楽街に立っています」(大手紙警視庁担当記者)

客が来るのにキャッチと契約

 筆者は2017年、2020年ごろにそれぞれ、悪質なキャッチが繁華街で暗躍していること、キャッチに連れていかれる店が「プチぼったくり店」であることについて記事を書いたが、あれから今日に至るまで、キャッチの撲滅には至っていない。それどころか、道ゆく酔客の腕を引っ張って店に連れていくなどの、昔ながらの強引なキャッチはもちろんのこと、一般客のふりをしてキャッチをしたり、若い女性キャッチらの色仕掛けによる誘引など、手口は多様化し続けているのが現状だ。

 一方、こうした悪質なキャッチはことあるごとに逮捕され、その都度報じられたりもしている。「キャッチが違法である」という自治体や警察当局によるアナウンスも頻繁に行われているため、キャッチになろう、と考える人々は減少しそうなものではある。にもかかわらず、なぜ今なお繁華街にキャッチが立ち続けているのか。かつて、集客のために違法キャッチと「契約」をした経験があるという、元居酒屋店経営者の原島伸治さん(仮名・40代)が、自身の経験を明かす。

関連キーワード

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン