報道番組からバラエティまでこなすアナウンサーだった(撮影/藤岡雅樹)

報道番組からバラエティまでこなすアナウンサーだった(撮影/藤岡雅樹)

「寺田理恵子は2人いらないんだよ」

 番組は半年でリニューアルとなり、阿部さんだけが番組を「卒業」、その後はほとんど仕事がない日々が続く。当時、アナウンス部で終日仕事がないことを“暇日勤”と呼んでいたそうだが、その状態は「とてもつらかった」という。そんな阿部さんを励ましてくれたのが上司の露木茂さん(83)だった。

「自信をなくしていて、ほかの女性アナウンサーが輝いて見えました。ある日、いつもの通り『暇日勤』で、アナウンス部のソファに座ってテレビをぼんやり観ていたら、当時大人気だった寺田理恵子さん(62)が華やかに堂々と番組に出ていらした。その姿を見ながら、隣に座っていた露木さんに『こういう人が女性アナウンサーになるんですよね』とぼそっと呟いたんです。そうしたら露木さんが『阿部知代、フジテレビに寺田理恵子は2人いらないんだよ』とおっしゃった。今思い出しても涙が出ますね。心に染みる言葉でした。

 そんな中ほぼ唯一のレギュラーが早朝の美術番組『テレビ美術館』でした。正直、美術の知識はほとんど無いまま担当になりましたが、その後、23年間にわたって司会を続け、多くのアートに触れ、アーティストと出会い、それは今も私の大切な財産です」

 大きな転機が訪れたのが入社2年目のこと。夏の休暇から戻ると、大人気番組『なるほど!ザ・ワールド』のリポーターの仕事が舞い込んできた。

「夏休みはインドに、バックパックを背負って1人旅したんです。そこから帰って来て間もなく部長に呼ばれて『なるほど!』の海外リポーターの依頼が来ている、と。当時、視聴率30%越えのフジテレビの看板番組です。なぜ『暇日勤』の私に? と驚きました。聞くと、インドに行ったことが番組プロデューサーの耳に入り“入社2年目の子が1人でインドに行ったらしい”と面白がってくださり決まったようです」

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