時代遅れの健診・検査

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 くどうちあき脳神経外科クリニック院長の工藤千秋さんは「Nさんのようなケースは珍しくない」と話す。

「血液検査の結果、貧血の心配がないと言われても何の数値をもとに判断されているかに注意してほしい。『ヘモグロビン』の値が正常だから貧血ではないと判断されても、『血清鉄』や『フェリチン』が低いと、脳に酸素が充分に運べないので、頭痛など貧血の症状が現れることがあります」(工藤さん)

 数値に振り回されないことが重要なのは血圧も同様だ。脳梗塞や心筋梗塞など脳心血管疾患の予防につながるので、測定して現状を把握することは大切なものの、結果への対応に気をつけるべきだと岡田さんは指摘する。

「年齢に限らず血圧130/85mmHg以上であれば高血圧とされますが、年齢別の基準を作るべきです。誰でも年を取ると血管が硬くなり、血液を強い力で全身に送ろうと自然に血圧が上昇します。

 また、そうしたときにすぐに薬を使って下げようとする医師が多いのは気になります。降圧剤を使って無理に下げると、脳梗塞や認知症、転倒による骨折などのリスクが上がるためです。何より大事なのは患者が血圧が高いことを理解し、生活習慣の改善に取り組むことです」

 会社や学校の健診メニューで必ず見かける心電図も、「病気の早期発見・治療につながるかというと微妙」だと産業医の森勇磨さんは指摘する。

「不整脈が見つかることもありますが、軽微なものは経過観察になるので、あまり意味がないといえます」

(後編に続く)

※女性セブン2024年3月21日号

過信してはいけないがん検査

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医師の腕次第な健診・検査

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