ライフ

「下品の歴史」に「コンプラ度外視」…『ブギウギ』『不適切にもほどがある!』まだまだ面白いテレビドラマ

高田文夫氏が語るテレビ愛(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏が語るテレビ愛(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」観覧から東京漫才、江戸前の演芸について綴る。

 * * *
「テレビはオワコンだ」という。漫才協会でオワコンといえば“終わったコンビ仲”という意味である。私は70年前のテレビ誕生からこんにちまでズーッとテレビを見ている。テレビとラジオが大好きだ。テレビでたくさん稼いできた、ラジオで毎日生きている。スマホもスマタ(素股)もやらない。

 今期のドラマでずっと見てるのはNHK朝の『ブギウギ』。達者すぎる趣里。親の顔が見てみたい。

 笠置シヅ子を見る淡谷のり子がいい。歌って踊り出してしまうパワフルな笠置に「どうしようもなく下品ね」と言い放つ。いいネ。これが後々、フジテレビのものまね番組で清水アキラを見てあきれ「あんた下品ねぇ」。淡谷先生下品の歴史。何十年間テレビ見てんだ? ああもう3月で終わっちゃう。帝国ホテルのタワー館プラザも一緒に今月末で終わっちゃう。

 もう一本は令和のコンプラ重視に一石も二石も投じてチョメチョメしちゃう『不適切にもほどがある!』。私もニッポン放送の不適切男と呼ばれて生放送45年間(たけしANN10年、ビバリー昼ズ35年)。気がつくと一度も不適切な発言などしていなかった。ゲストに呼んだ人2人がいきなり「おま○こーッ」と叫んだ。永六輔と立川談志である。曰く「高田クンのピンチの処理能力をみようと思って」だと。大人気がなさすぎる2人なのだ。

 最近この2人共あんまり見かけない。売れてないのか? 皆いなくなっちゃったなぁ。私は都会っ子の社交家で自開症なので知り合いも多くその分年をとると「お別れ」も多い。それでも私は終わっていないテレビを見て、ラジオを聞く毎日。テレビを介錯しようとしているのかもしれない。

 ドラマ以外で面白いのは『私のバカせまい史』。この4月から深夜に行ってしまうが、どうでもいいことを調べ探り遡ってゆく。このコアさがテレビ好きにはたまらない。以前など「どっきりの寝起きを始めたのはどの番組なのか」と調べ、遡り遂に行きついたのはフジの「『スターどっきり 報告』第1回 山口百恵の寝起き」。考えたのは誰かと調べあげ行きついたのは私だった。たしかあの時はスタッフの会議で「百恵ちゃんのパンツが見たい」と言ったら全員で「合法的にどうやったら見られるのか」と煮つまりあの方法となった。何だってクリエイティブだ。

『有吉クイズ』が深夜にもどって来てまた活性化した。有吉にはノーコンプラでまだ大暴れして欲しい。

 ロケものではロバート秋山『秋山ロケの地図』が下らなさの点で相当いい。BSではバナナマン日村の『ウォーキングのひむ太郎』は絶対見てしまう。日村の東京への愛情がハンパじゃないのだ。

※週刊ポスト2024年3月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト