『ムショぼけ』のブーム秘話から「SNS誹謗中傷問題」まで語り合った北村と沖田氏
沖田:人間が、SNSにビクビクしすぎだと感じています。もしSNSを全部なくしても、誰も困らないと思いますし、いまよりもっといい社会になるかもしれない。便利が1周回って、不便な社会になってしまっています。
SNSで寂しさを満たす人もいるわけですが、北村さんや自分たちは、そちらの考えは持っていない、ということです。自分は文芸を、北村さんは俳優を真剣にやられている。SNSのコメントに捉われているヒマはないんです。
北村:俳優という職業においては、個人的な思いをむやみに発信すると、固定のイメージを植え付けてしまい、プラスにもならないところがある。ヤクザの役をやった次の作品では警察官をやることもある仕事なだけに、自分の意見をやたらと表明することは、余計な情報になりかねないとも思います。あからさまに発信することはこれからもないのかな。
沖田:『ムショぼけ』が、小説、ドラマ、これからさらに漫画へと広がっていくのを、読者や視聴者のみなさんには楽しみにしていていただければと思います。
【プロフィール】
北村有起哉(きたむら・ゆきや)/1974年生まれ。東京都出身。1998年に舞台『春のめざめ』(串田和美演出)と映画「カンゾー先生」(今村昌平監督)作品に出演しデビュー。ジャンルを問わない表現力で幅広く活動し、その独特の存在感で注目を集める。近年の作品では、舞台『眠くなっちゃった』(2023年/ケラリーノサンドロヴィッチ演出)、映画「キリエのうた」(2023年/岩井俊二監督)、「愛にイナズマ」(2023年/石井裕也監督)、ドラマ「たそがれ優作」(2023/TX)、「僕の愛しい妖怪ガールフレンド」(2024年/ AmazonOriginal)などがある。5月10公開予定の映画「鬼平犯科帳 血闘」や、NHK連続ドラマ小説「おむすび」でヒロインの父・米田聖人役を演じことが決まっている。
沖田臥竜(おきた・がりょう)/1976年生まれ。兵庫県尼崎市出身。2006年に小説家としてデビュー。以来、事件から政治、裏社会まで幅広いフィールドを題材に執筆活動を続ける。一方で、近年はドラマや映画の監修を手がけるなど活躍の場を広げている。TVドラマ化された小説「ムショぼけ」「インフォーマ」のほか、近著に「ムショぼけ2 ~陣内宗介まだボケてます~」「インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ」などがある。小学館マンガワンで連載中の漫画「インフォーマ」は4月18日に第1巻が発売予定。