「趣味は手芸、“昆活(昆虫活動)”です!」
「いつも笑ってくれるから ぼくも楽しくいられる」
堀越高校の同級生である辻野氏との再会は、荻野目の人生観や人間性も大きく変えたという。
「主人は現役時代の数年間をアメリカで過ごしていたので、キャラクターが半分、欧米化されていて(笑い)、とにかく会話することが好き。私は彼の話に笑ってばかりですが、『いつも笑ってくれるから楽しくいられる』と言ってくれます。日本人なら少し照れることでも口にするんです、欧米ではそれが当たり前だから(笑い)。
彼からは、ディスカッションが本当に大事なんだということを教わりました。結婚当初、私は彼に言いたいことをうまく伝えられず、感情をためて爆発することが何度かありました。そのとき言われたのは、『思ったときに言ってくれる方がよっぽどいいよ』。
それからは日常の小さなことでも、その都度、正直に気持ちを伝えるようにしたら、ストレスがたまらなくなったんです。かつての私は、仕事でも自分を主張できずに思い悩むことが多かった。あのとき、もっと自分から対話を求めるべきだったなあと、思い返すこともあります」
子育てや夫婦間についての約束事もある。
「誰に対しても『感情的に怒るのはやめよう』ということ。そこに解決策はありませんから。イライラが抑えられないときは日記に怒りをぶつけます。それも、万が一夫に見られても大丈夫というくらい客観的に書く。そうやって綴っていくと、すーっと怒りの温度が冷めていくんです」
子供たちから見た荻野目は、どんなお母さんなのだろう?
「おっちょこちょいで『サザエさん』みたいと言われます。まさに、財布を忘れて買い物に行って、レジで気づいたことも(笑い)。思い立ったら勢いで動いてしまうのは、B型だからでしょうか?」
2006年に三女が生まれる前後の約4年間は、子育てに専念することに。復帰への焦りはなかったのだろうか。
「それが、全然なかったんです!子育ての時間があまりに幸せで、『このままオファーがなければそれでもいいか』と思っていました。そんな私に、主人が『音楽を続けられるのもひとつの才能。またやりたくなるときが絶対に来るから、始めた方がいい』と背中を押してくれました。
彼には、現役時代、海外遠征で孤独な自分を奮い立たせてくれたのが音楽だったという体験があって、『ミュージシャンの存在ってすごいんだよ』とも言ってくれたのが大きかったですね」
(第3回へ続く。第1回から読む)
【プロフィール】
荻野目洋子(おぎのめ ようこ)/1968年生まれ、千葉県出身。1984年『未来航海-Sailing-』でデビュー。『ダンシング・ヒーロー』(1985年)、『六本木純情派』(1986年)、『コーヒー・ルンバ』(1992年)など、数々のヒット曲を発表。2017年『ダンシング・ヒーロー』の再ヒットで第59回日本レコード大賞特別賞、第32回日本ゴールドディスク大賞特別賞受賞。『NHK紅白歌合戦』に5回出場。今年4月3日には、作詞・作曲所ジョージ、木梨憲武プロデュースのシングル『Let’s shake』が配信リリース予定。
取材・文/佐藤有栄 撮影/小松士郎
※女性セブン2024年4月11日号
4月3日から行われるデビュー40周年記念のライブツアーでは、往年のヒット曲から新曲までを披露する予定。*ライブツアーは、4月13日福岡にて、4月21日宮城にて、4月28日北海道にて、6月16日静岡にて開催予定
荻野目洋子・デビュー40周年