「旧車會」グループから押収された改造車両。[北海道警提供](イメージ、時事通信フォト)
「まあ確かに、元暴走族とかヤンチャなやつだらけだけど、違法な改造をしたり爆音で走ったり、みんなに迷惑をかけないというのがルール。あくまでも、仕事して稼いだ金で旧車を買ってきて、改造は合法の範囲で、みんなで集まって楽しくツーリングするのが旧車會。……だった、と言う他ないね、現状を見ると」(旧車會元リーダー格の男性)
元旧車會の男性も落胆するほど、最近では旧車會がらみのトラブルが頻発している。というよりも、旧車會メンバーが道路交通法違反をはじめとした犯罪行為に及び、検挙されるなどの例が増えているのだ。
「もはや旧車會も暴走族も同じ。俺たちも、集団で走ってれば威圧感くらいはあったかもしれないが、交通ルールは守ったし、パトカーがついてくることもあったけど、何も危険なこと、違法なことはしていないから問題はなかったんですよ。でも、今の旧車會の連中は違う。ノーヘルや違法改造は当たり前で、不良の中高生が旧車會に属している場合もある」(旧車會元リーダー格の男性)
駐車場に入ることを躊躇う住人も
事実、旧車會のイメージは、この数年で大きく変わったと筆者自身も感じている。かつて刊行されていたバイク雑誌の元編集者・勝見伸治さん(仮名・40代)がそっと打ち明ける。
「昔はまだ、旧車會といえば古いバイクを愛する大人たち、というイメージわずかにでもにありました。ところが最近の旧車會は、いい年をしたオッサンが旧車會の名の元に若い連中と一緒になってイキっているという感じしかしませんし、ある意味暴走族よりたちが悪く、反社勢力のメンバーが属していることもある。旧車會好きの間で知られるVシネマ俳優の男性が、旧車會のツーリング途中に危険な走行をして検挙されたこともありました。昔なら、旧車會はそういう行為をしない、とされていましたが、ずいぶん変わってしまいましたね」(勝見さん)
前出の、騒音に悩まされている主婦・森田さん宅の近くにあるスーパーの駐車場には、土日になれば必ず数十台、多い時で数百台のバイクが「旧車會のツーリング」という名目で、関東近郊から集まる。その爆音は、数百メートル離れていても聞こえるほどで、高齢の住人などは怖がって外にも出られず、スーパーの買い物客も、この旧車會のメンバーを見た途端、帰路についたり、駐車場に入ることを躊躇う住人も続出している。
「(旧車會のような)暴走族まがいの人たちは、ただ人様に迷惑をかけて、ちっともカッコよくないし危ない。実は亡くなった主人もバイクが好きだったので……複雑なんですよ」(森田さん)