芸能

《演出家&キャスト候補が語る》劇団四季・最新ミュージカル『ゴースト&レディ』で届けたいメッセージ

フロー(真瀬はるか)は看護婦たちと共に、命がけでクリミアのスクタリ陸軍野戦病院へ向かう

フロー(真瀬はるか)は看護婦たちと共に、命がけでクリミアのスクタリ陸軍野戦病院へ向かう

 5月6日(月・休)に開幕を控えた劇団四季の最新オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』。近年オリジナルミュージカルの制作に意欲的な劇団四季が、「ここ10年間の集大成のような作品」(吉田智誉樹代表)と意気込む新作だ。幕開け前というのにすでにキャストやスタッフからは「号泣必至」という声も聞かれるが、その理由とは──?4月3日に横浜・四季芸術センターで行われた稽古場取材会の様子を交えてお届けする。

 本作は、『うしおととら』や『からくりサーカス』(ともに小学館)など多くのヒット作で知られる人気漫画家・藤田和日郎氏の『黒博物館 ゴーストアンドレディ』(講談社)を原作にしたオリジナルミュージカル。19世紀ヨーロッパで近代看護の礎を築いた「ランプを持った淑女」フローレス・ナイチンゲール(フロー)と芝居好きなゴーストのグレイとのファンタジックなラブストーリーが、当時のクリミア戦争というシリアスな出来事を背景に描かれる。

【ストーリー】
19世紀のイギリス・ロンドン。ドルーリー・レーン劇場には、現れるとその芝居が大ヒットするといわれるシアター・ゴーストのグレイがいた。彼は芝居をこよなく愛し、裏切りにあって命を落とした元決闘代理人。そんな彼のもとを1人の令嬢が訪ね、「私を殺してほしい」と懇願する。彼女の名はフロー。看護の道に強い使命感を抱くも、職業差別と家族からの反対に抗えず、生きる意味を見失いかけていたのだ。グレイが「絶望の底まで落ちたら」という条件でその願いを引き受けると、フローは死を覚悟したことで看護の道を貫く決断をし、グレイと共にクリミアの野戦病院へと赴く。次第に絆を感じ始める2人だったが、フローを亡き者にしようと企む軍医長官ジョンによる魔の手が迫っていた。そしてその傍らには生前のグレイと因縁のあった、元決闘代理人のゴースト・デオンの姿が……。

 演出は、名作と名高い『ノートルダムの鐘』(四季初演は2016年)を手がけたスコット・シュワルツ氏。彼は2019年、四季から渡された英訳コミックスを読了後すぐに「やりましょう!」と即決したことを明かしている。

「漫画の絵の力ももちろんあるんですが、このアイディアが素晴らしい。ナイチンゲールという人物を、ゴーストを通して語る。現実とファンタジーがひとつになって、視覚的にもものすごいことが舞台上で展開できるぞ、と思いました。

 内容的にも、いまこうしている間にもウクライナでは戦争が続いています。つまりクリミア半島で、ナイチンゲールたちが体験した同じことが起きているんですよね。なので我々はいま、戦争というものの核心を曝け出す必要性を感じています。

 戦争が人にもたらすものはなんなのか。『ノートルダムの鐘』では世界の闇、残酷になり得るもの、真実を象徴的に描くことを試みた作品でしたが、この作品でも同じことを表現したいと考えています。

 ただ本作のテーマを1つ伝えるならば、我々はいかに人を癒すことができるのか、そして人はどのように癒されるのか。互いをどのように癒すことができるのかということを持って帰っていただきたいですね」(シュワルツ氏)

 候補キャストらは原作にどんな印象を持ち、そして本作でどんなメッセージを届けたいと考えているのだろうか。

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン