溶けずに体内に残る
一方、医師が服用のリスクを指摘するサプリも少なくない。伊賀瀬医師はシナモンの過剰摂取に注意を促す。
「毛細血管の健康を保つとされますが、過剰に服用すると肝臓に負担がかかります」
「健康オタク」を自任して多数のサプリを飲む永井医師は、意外にも血圧や血糖値、コレステロールを維持する・下げることを期待するサプリには手を出さないという。
「どうしてもこれらの数値を下げる必要があれば、医学的なエビデンスが確立された処方薬を飲むべきです。サプリが危険と一概には言えないが、数値を下げる薬には副作用が起きやすい。その点の検証が尽くされた処方薬のほうがより安全でしょう。
その観点からコレステロールを改善する紅麹も今回の被害の前から避けていましたし、血圧の低下を謳うGABAなども避けるようにしています」(永井医師)
ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也医師はサプリ全般に対して懐疑的だが、なかでもマカとウコンは飲みたくないと語る。
「マカは動脈硬化予防、ウコンは肝機能の回復が宣伝されますが、ともに肝機能障害のリスクがあると言われます。無闇に飲む必要性を感じません」
上医師は、メジャーなサプリであるビタミンには「水溶性」と「脂溶性」の2種類あることに注意を呼びかける。
「水溶性のビタミンは水に溶けるので、仮に摂取しすぎたとしてもいずれ尿として体外に排出されます。しかし脂溶性のビタミンは水に溶けず、必要以上に摂取すると体内にとどまって悪さをする恐れがあります。特にビタミンA、ビタミンD、ビタミンEのサプリは脂溶性のため体内に残る傾向があり、過剰な摂取や長期服用は避けたい」
整形外科医の立場から、グルコサミンをはじめとする軟骨成分にNOを突きつけるのは戸田医師。
「膝関節の軟骨に効果があると謳われますが、グルコサミンは分子が大きく、摂取してもアミノ酸に分解されて軟骨に届きません。薄毛の人が髪の毛を食べても増毛できないのと同じで、軟骨の成分を食べても消化されるだけで軟骨そのものは増えません。私は飲むだけムダだと考えています」
服用する際は医師と相談することが肝要だ。
※週刊ポスト2024年4月26日号