『自分で決められる子になる育て方ベスト』(サンマーク出版)より
一方で、「努力した過程や努力する姿勢そのものを褒められて育った子どもは、『何事も懸命に粘り強く頑張ればいつかきっと習得できる』と考えるようになる」と結論づけています。
これは、自己肯定感にもつながる大切な考え方です。
自己肯定感が高い場合は、精神的な安定につながり、ストレス耐性も高い傾向があるため、結果としてストレス由来の疾病リスクの低下にもつながります。
つまりGRITは、成功した人が持っている確率が高く、精神的・肉体的メリットが多く、後天的に身につけられる「いいことずくめ」な能力なのです。
肝心の「GRIT」という言葉自体の意味もご説明しましょう。
GRITとは以下の4つの言葉の頭文字から構成されている概念です。
・Guts(度胸):困難なことに立ち向かう
・Resilience(復元力):失敗しても諦めずに続ける
・Initiative(自発性):自分で目標を見据える
・Tenacity(執念):最後までやり遂げる
どうやら、この4つの力を高めていくことでGRITは鍛えられるようです。ここからは具体的かつ実践的な方法を、一緒に見ていきましょう。
「無理」と思わないメンタルは簡単に作れる
「小学3年生の息子を数か月前から塾に行かせています。最近息子が『自分は計算問題が得意だ』と自慢げに言うようになりました。初めは嬉しく思っていましたが、よく聞いてみると同じ計算ドリルを繰り返していて、ほとんど答えを覚えてしまっているらしいのです。先生に聞いたら、『反復練習をすることで達成感を味わえ、やればできるという自己肯定感も上がるからいい方法だ』とのことだったのですが、なんだかモヤモヤします……」
「自分は計算問題が得意だ」と自分の能力を信じられることは、いい効果になっているといえそうです。ただ相談者の「なんだかモヤモヤ」する気持ちもわかります。「同じドリルを繰り返しても、できる気分を味わっているだけで、本当にできるようになっているわけじゃないのではないか?」「他のドリルをやったら解けなくて、逆に自己肯定感が下がってしまうのではないか?」相談者のモヤモヤを言語化すると、このようになるでしょう。