ロサンゼルスの連邦地方裁判所前には、水原一平が会見をするというので大勢の報道陣が集まっていたが、弁護士から声明が発表されただけで姿をあらわさなかった(AFP=時事)

ロサンゼルスの連邦地方裁判所前には、水原一平が会見をするというので大勢の報道陣が集まっていたが、弁護士から声明が発表されただけで姿をあらわさなかった(AFP=時事)

 法廷でのやり取りは約15分。「イエス」と返事する以外は言葉少なくに答えていたという。裁判官は水原容疑者の保釈を認め、保釈金2万5000ドル(約383万円)で即日保釈。大谷選手への接近禁止命令やギャンブル依存症の治療プログラムの義務などの条件が出されたという。閉廷後、担当弁護士のフリードマン氏は「水原容疑者は、大谷氏とその家族、ドジャース、MLB謝罪の意を示している」と声明を出したが、水原氏が取材に応じることはなかった。

 写真エージェンシーから、水原容疑者の出廷時の写真が配信された。廊下を歩きながら、振り返ったと思われる写真だ。突然声をかけられたのか、シャッターを切られたのかわからないが、その表情に緊張感はなく、姿勢にも構えたところやがないため、カメラを向けられることは予期していなかったのだろう。暗く沈んだような色の目は見開かれ、驚きというより畏れや怯えを感じているような印象だ。口角や下唇が引き下げられ、顎にシワができていることから、喪失感や悲しみを強く感じていると思われる。

 疑惑が発覚するまで、誰1人彼のことを疑いの目で見る者はいなかっただろう。大谷選手が活躍すればするほど、期待されればされるほど、それに比例するように水原容疑者への称賛も高まっていった。献身的なサポートに阿吽の呼吸ともいえる通訳ぶりからは、信頼関係で結ばれているように見えていた2人。水原容疑者に向けられていたのは尊敬や羨望といった視線だった。だが水原容疑者が抱えている現実と、それはどんどん乖離していく。彼が怖かったのは、負債が増えることや借金を返せなくなることより、大谷選手との関係や人々からのまなざしを失うことだった気がする。出廷中、水原容疑者は傍聴人席に視線を向けることはなかったと一部のメディアは報じているからだ。

 もし事実を告白すれば、彼は大谷選手からの信頼や通訳という職を失うだけでなく、人々からの尊敬や称賛も失うことになる。隠し通すため、水原容疑者は様々な隠ぺい工作を行っていた。保釈後、カメラの前に立てば、彼に向けられるのはこれまでとは真逆の軽蔑や非難という冷たいまなざしだ。疑惑発覚後から姿を見せなかった彼に、そのような視線が耐えられるのか、容赦なくぶつけられる質問に答えられるのかと思ったが、やはり公の前に立つのは難しかったようだ。

 罪状認否の手続きが行われる次回の裁判は5月9日。果たして水原容疑者は姿を見せるのだろうか。

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