「お医者さま」といえど、同じ人間で、“神様”ではない。あまりに過信していると、病気を治しに行っているのに命の危険にさらされることだってある。ハズレを引かないためには、どうすればいいのか──それは、失敗しない見分け方を学べばいいだけ。替えてみる、その決断をするためのポイントを解説しよう。【前後編の後編。前編から読む】
かかりつけ医を替えて脳梗塞が見つかった
前編で触れた神戸徳洲会病院では、1人の男性医師がかかわった手術で複数の事故が起きていると報道されている。つまり、いくらいい病院でも、主治医となる医師に問題があれば元も子もないということ。
新潟大学名誉教授の岡田正彦さんは、「患者の話に耳を傾けず、質問に答えない医師はすぐに替えた方がいい」と話す。
「よく耳にするのは“話をちゃんと聞いてくれない”“質問したら怒られた”というもの。意見を言うと、“そんなことを言うなら悪くなっても知らない”“不満があるならほかの病院に行きなさい”と怒る医師もいますが、これは一種のパワハラです」(岡田さん)
ティーズ内科クリニック院長の土山智也さんも声を揃える。
「最も気がかりなのは、患者さんが質問をしたときにムッとして、自分の意見が絶対に正しいという言い方をする医師。そういうときは、患者さんの症状が医師の専門領域を超えてしまっていて、それに対応できる知識や経験を持ち合わせていない可能性がある。“専門外なので、ほかの病院で意見を聞いてください”と紹介状を書いてくれるような医師なら安心ですが、自分が弱い分野を認めない医師はおすすめしません」
受け答えに加え、診察時に医師の体が患者に向いているかどうかも見極めポイント。患者の顔を見て診察する医師に命を救われたと話すのは、会社員のEさん(41才)だ。
「以前のかかりつけ医は、地域でカリスマと評判のベテラン医師でした。でも、診察中はただパソコンを見て、私の話を打ち込むだけ。処方される薬もあまり効かずに、ずっと疑問を持っていました。そのうち近所に新しいクリニックができたので替えたところ、新しい先生は若いけれど、ちゃんと顔色や皮膚などを診察してくれる。