新型コロナウイルスのワクチンについても陰謀論が拡散されやすい(イメージ、Sipa USA/時事通信フォト)

新型コロナウイルスのワクチンについても陰謀論が拡散されやすい(イメージ、Sipa USA/時事通信フォト)

 ヤンキー時代の上下関係が今なお「生きている」こともあり、X男の主張を受け入れたフリをしていたが、ある時、橋本さんの生活を脅かすような事態に陥った。X男が、ヤンキー時代の「部下」をタグ付けする形で、陰謀論投稿を始めたのだ。

「ワクチンの死亡者が実は数万人いるとか、福島の原発処理水で魚に奇形が出ているとか、真偽不明の情報の投稿に、僕をはじめ、X男さんの後輩の十数人の名前がタグづけされたんです。何も知らない人から見たら、僕が陰謀論を信じているかのように見えてしまい、会社の同僚や知人から”お前大丈夫か?”と相当心配されたし、何も言ってこなくとも、あいつはやべえ奴だと思われているに違いありません。タグ付けをやめてほしいといった知人は、X男さんに”日本の将来がどうなってもいいのか”と相当怒鳴られたそうで、もう我慢するしかないんですよ」(橋本さん)

 知人が陰謀論にハマったとしても、無視を決め込んだり距離を置くことによって、自身に降りかかる災いからは逃れられるかもしれない。だが、学生時代の先輩後輩関係、職場の上司後輩関係など、弱い立場の片方が「NO」といえない関係の中で、強い立場の人間が「陰謀論」を振りかざせば、否定することも逃れることもできないのだ。

スクールカースト頂点だった彼女がハマったもの

「学校中の男子生徒の憧れだったY子のSNSに、反ワクチンとか食品添加物がどうのという、訳のわからない投稿が増えたのは2年くらい前でしたね。最初は、子育てなどが落ち着いて、いろいろ勉強しているのかな?という風にしか思わなかったんです」

 都内在住の公務員・吉田郁子さん(仮名・30代)は、美人でその名を他校にまで轟かせていたという友人Y子のSNSに、いきなり見慣れない文言が投稿され始めたのを見てギョッとした。ほとんど更新されていなかったY子のSNSタイムラインにある日、急にサラダの写真が大量にアップされ「ビーガン生活を始めた」と書き込まれたのだ。他にも、酵素やお酢などの健康食品がいかに良いか、新型コロナワクチンの代わりになる食材が存在するなど、いかにも眉唾な情報の書き込みが半年以上続いたという。

「なんか怪しいのにハマっちゃったね、と女友達同士でガッカリしていたんですが、Y子は美人。Y子がどんなに変なことを言っても、陰謀論の投稿にいいね押したり、コメントする男性ユーザーが何人もいるんです。だからY子も、自身の主張が受け入れられたと思ったのか、投稿数は日を追うごとに増えましたね。1日に何十回も投稿をして、コメントには”Y子さんすばらしい”とか”マスコミが言わない情報だ”とか、どこかの知らないおじさんのコメントが並んでいるんですよ」(吉田さん)

 それから間も無く、吉田さんの耳に入ってきたのは、Y子はただ陰謀論にハマっただけでなく、SNSの投稿で吊り上げたかつての男子同級生や、SNS上で知り合った見ず知らずの男性たちを「マルチ商法」に引き入れていたという、驚くべき事実だった。

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