2021年、アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件を起こしたのは主にインターネットで広まっ陰謀論であるQアノンを信じる人たちが襲撃に多く加わっていた。ネットで陰謀論にとらわれる人は多い(AFP=時事)
「もともとY子を狙っていたのか知りませんが(笑)、Y子の陰謀論投稿にやたらコメントしている元同級生の男が、Y子に30万円を盗まれ戻ってこないと訴えたんです。そうしたら、他にも被害を訴える元同級生の男がゾロゾロ出てきました。結局Y子は、自身の美貌を生かしながら陰謀論を語りかけ、最終的にはついてきたカモをマルチに陥れたんです。騙された男も気の毒ですが、下心もあったから陰謀論に同調して擦り寄っていき、結局身ぐるみ剥がされたんだろうと思いますよ。私の男友達も20万円を取られて、奥さんに顔向けできないと項垂れていました」(吉田さん)
容姿端麗なY子の「陰謀論」は、Y子の美貌に目が眩んだ男たちにとって「Y子とお近づきになれる」きっかけくらいのものだったのだろう。だが結局、男たちはY子の陰謀論にいいように翻弄され、金や社会的信頼まで失ったのだ。
「まさかあのY子がと思いましたが、結局、陰謀論にハマったのが先なのか、陰謀論を使った金儲けのための方便なのかわかりません。こういう事例もあるんだと、旦那にもキツくいっておきました」(吉田さん)
かつては「バカみたいだ」と気にも留めなかった陰謀論も、それを信じる人が増えれば増えるほど、それが事実かどうかは関係なく「正しいといわれている情報」として拡散し、既成事実化してしまう。偽情報があまりにも増えすぎた現状下でも、同様の事象はすでに起きているはずだ。
情報の取捨選択・精査には自信がある、陰謀論者は信じないし騙されない。そう心に決めていても、意外なところに存在する陰謀論者の影響が、いつか突然あなたに降りかかってくるかもしれない。