ライフ

陰謀論から縁遠いはずのリア充が、SNSで荒唐無稽な自説の拡散に勤しむこともある

最近の陰謀論界隈で注目を集めSNSで世界中に伝播したのがアメリカの極右が提唱する陰謀論とそれに基づく政治運動「Qアノン」。彼らは新型コロナウイルスにまつわることも陰謀があると主張する(イメージ、dpa/時事通信フォト)

最近の陰謀論界隈で注目を集めSNSで世界中に伝播したのがアメリカの極右が提唱する陰謀論とそれに基づく政治運動「Qアノン」。彼らは新型コロナウイルスにまつわることも陰謀があると主張する(イメージ、dpa/時事通信フォト)

 陰謀論とは、出来事や状況について、邪悪で強力な者や集団による作為によって起きているという主張だ。最近ではSNSを通じて影響を受けたり喧伝する人が多いこともあり、陰謀論を主張する人たちにはリアルで親しい人が少なめの人、非リア充が多い印象だった。ところが、ネットより地元の友人や先輩後輩の言うことを信じがちなヤンチャだった人たちや、学生時代にカーストの頂点にいたような人が、SNSで陰謀論を叫び始めて古くからの友人知人を戸惑わせている。ライターの宮添優氏が、リア充コミュニティのメンバーだったはずの人が主張するがゆえに、リアル(現実)で悩まされる人たちについてレポートする。

 * * *
 高度な情報化社会の弊害とでもいうべきか、世論にはネットを発信源とみられる偽情報やフェイクニュースが溢れ、一体何が真実で何が嘘なのか、わかりにくくなりつつある。「親がネトウヨ(ネット右翼)になっていた」とか「友達が反ワクチンの陰謀論にハマってしまった」という人も珍しくなくなっているが、高齢者や情報弱者だけでなく、意外な人が陰謀世界に「闇堕ち」し、周囲を悩ませるパターンも続出している。

「昔は暴走命、ケンカに明け暮れ、確か傷害事件を起こし少年刑務所にも入っていたと思います。そんな先輩が、ワクチンの真実とか世界人口削減計画とか、毎日のようにSNSにポストしはじめたんです。最初はアカウントを乗っ取られたかな?くらいにしか思っていなかったんですよ」

 こう話すのは、愛知県在住の自営業・橋本孝明さん(仮名・40代)。10代の頃、橋本さんは地元の暴走族に属していたが、当時から頭の上がらなかったリーダー格のX男とは、長らくSNSで緩く繋がっているだけで、もう十年以上も会うこともなかったという。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、日本でも感染が拡大し緊急事態宣言が発令され異例のスピードでワクチン接種が行われてからというもの、X男は「ワクチンで人口削減計画が始まる」とか「世界を牛耳るDS(ディープステイト)を潰さなければ」といった、怪しげな書き込みを始めたという。

 ディープステートとは、選挙で選ばれた政権を操る闇の政府を意味するスラングで、インターネットが存在するより前から使われてきた言葉だ。この言葉が改めて脚光を集めたのは、ドナルド・トランプ米大統領が在任中に、自分の計画をディープステートが邪魔していると主張していた影響が大きい。世界征服を企む悪の秘密結社が存在すると本気で信じて子供番組を見るような年頃ならともかく、いい年をした大人が信じるには、あまりに荒唐無稽な理屈だと思われているため、信じている人たちを説得するのが難しい。だが、世界中に「DS」の存在を信じている人たちが、相当数いるのだ。

「最初は無視していましたよ(笑)。ですが、一応先輩だから、いいね押したりコメントしたりしていました。まあ、これがいけなかったんでしょう。”怖いですね”とか当たり障りのないコメントをしたところ、いきなり電話がかかってきて”お前も真実に気が付いたか”と大興奮されてしまった」(橋本さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン