特定の政党に対する政治判断はしない
韓国の法律では、「落選運動対象者を発表する記者会見」「落選運動と関連したウェブサイト運営」「団体の会員対象会誌を通じた落選運動対象者公表」「電話を通じた1対1の呼びかけ」「自筆手紙による呼びかけ」などの方法が認められており、配布、集会、拡声器の使用や街頭デモは禁止されている。
「有権者がインスタグラムやフェイスブックなどのSNSを駆使し、写真入りで地域ごとの落選運動対象者を掲載した『推薦反対リスト全国地図』が広がるなど、ネット上でも大きく展開された」(在韓ジャーナリスト)
前出の平井氏が語る。
「落選運動は議員個々の政治活動と道徳性、資質を評価し、未達の政治家を退出させる運動です。特定の政党に対する政治判断はしません。そのため市民団体などは有権者の選択権を尊重し、公益的な良心をかけて候補者の玉石を選り分ける根拠を提示するのです。
選挙の印刷物には、その候補の不正や腐敗、それに加担した経歴は書かれていませんから、市民団体が政治家の活動や資質を有権者に知らせることは民主主義の必須構成要素といえるでしょう」
今回、総選挙ネットが公認反対名簿に登載した候補35人中、与党「国民の力」は26人を占めたが、そのうち5人が不出馬、7人が落選した。
「1票の力」はやはり政治を変えることができるのだ。
※週刊ポスト2024年5月3・10日号