国際情報

韓国で与党を大敗に追い込んだ「落薦&落選運動」の驚異の力 不適格な候補を2段階に分けて抽出し、ネットで大きく展開

総選挙ネットHPに掲載された35人の公認反対名簿

総選挙ネットHPに掲載された35人の公認反対名簿

 4月10日に投開票が行なわれた韓国の総選挙は、野党の「地滑り的勝利」と日本でも大きく報じられた。

 その原動力になったのが「落選運動」だ。韓国政治に詳しい平井敏晴・漢陽女子大学助教授が指摘する。

「韓国では2016年の総選挙で展開された落選運動を当局が厳しく取り締まったため、一時下火になっていました。しかし、2022年の最高裁判決で落選運動の逮捕者に無罪判決が確定したことから、今回の総選挙で復活して盛り上がりました」

 そもそも世界で最初に落選運動の力が注目されたのが韓国だ。2000年の総選挙では、市民団体などが連帯して運動を実施し、「不適格」と名指しされた候補の約7割を落選に追い込んだ。

 今回の総選挙では、幅広いテーマの市民団体など90の組織で結成された「総選挙市民ネットワーク」(総選挙ネット)が中心になって落選運動が展開された。

 平井氏によると、韓国の落選運動は2段階で行なわれる。

 総選挙ネットはまず有権者や各団体がそれぞれの視点から不適格だとした候補から89人を選定。さらに議論を経て絞り込み、共同して落選を働きかけるべきと考えられる与野党35人の公認反対名簿を公表した。中には、「ゲイはどう正せるか」と発言した議員や、水害復旧地域で「雨が少し降ってほしい。写真が良く写るから」と発言して批判された議員などが含まれていた。

 この第1段階では、総選挙ネットが各政党に対して名簿にある候補を公認しないように求める「落薦運動」を行なった。それでも出馬した候補には、有権者に「落選」を呼びかける第2段階の運動を展開したのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

公選法違反の疑いで刑事告訴され、書類送検された斎藤知事(左:時事通信フォト)と折田楓氏(右:本人SNS)
“公選法違反疑惑”「メルチュ」折田楓氏の名前が行政SNS事業から消えていた  広島市の担当者が明かした“入札のウラ側”《過去には5年連続コンペ落札》
NEWSポストセブン
コンサートでは歌唱当時の衣装、振り付けを再現
南野陽子デビュー40周年記念ツアー初日に密着 当時の衣装と振り付けを再現「初めて曲を聞いた当時の思い出を重ねながら見ていただけると嬉しいです」
週刊ポスト
”薬物密輸”の疑いで逮捕された君島かれん容疑者(本人SNSより)
《28歳ギャルダンサーに“ケタミン密輸”疑い》SNSフォロワー10万人超えの君島かれん容疑者が逮捕 吐露していた“過去の過ち”「ガンジャで捕まりたかったな…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン