晴れた日は土手で散歩やスクワットなどトレーニングをする。雨の日は室内バイクでテレビを見ながら運動する (撮影/平野哲郎)
そう言うと噴き出した。
「自分はね、70代に見えるんだって。そう言われたらますます足腰を鍛えておしゃれもせなあかんとやる気も出る。家の綻びなんかも見つけたら自分で修繕するよ。93歳を意識すれば、『年くったなぁ』となっちゃう。だから『俺はまだ若い。なんでもやれるんだ』って気持ちを絶えず持っている」
現役時代、住友電工に勤めていた幸男さんは定年後、きんさん・ぎんさんフィーバーで世話係に。テレビやイベントにひっぱりだこな2人は全国各地を飛び回った。姉妹が100歳になった1992年に楽曲『きんちゃんとぎんちゃん』でCDデビューを果たし、名鉄百貨店で催された2人のグッズコーナーは、半年ほどで数千万円を売り上げたという。春の園遊会に招待されたこともある。
そんな“ご長寿姉妹”を側で見てきた幸男さんも、今では自分が“ご長寿”を語る立場になった。その変化も「自分より若い人がこんなに話を聞いてくれるなんて、この歳じゃ考えられん」と面白がる。
常に軽やかな“気”の持ちようも、元気で長生きの秘訣なのだろう。
取材・文/渡部美也
※週刊ポスト2024年5月3・10日号