テレビCMで一躍人気者となった双子姉妹のきんさん・ぎんさん(写真/共同通信社)
この日の幸男さんも洒落ていた。モーニングを食べに馴染みの喫茶店まで散歩する時は、茶色のパンツに茶色のハンチング、桜を見に公園へ出かける時は紺のジャケットに着替えて紺のハンチングを選んだ。おめかしにはソフト帽を。自宅リビングには帽子が8つ並び、季節ごとに衣替えもする。
指には「母が“きん”だから」と、ゴールドの指輪がキラリ。「売り場のかわいい女性が選んでくれたから、ついつい買っちゃった」と照れながら、長寿の秘訣その2である「色っ気」を覗かせる。
「独身時代は女性からモテた。社内や街、どこでも素敵な人と出会ったら『こんにちは』ってアタックするの。当時はそうやって声をかけてもヘンな男とは見られなかったし、自分も“ピッ”としとったもんでね(笑)。相手から好かれた。長くお付き合いしたい人は初デートから洋食のステーキとか、一流店に誘ったね」
25歳で母きんさんが見込んだ菊枝さんと見合い結婚した。嫁姑関係は良好で家庭円満だったが、60年近く連れ添そった妻は10年前に死別。幸男さんは83歳だった。その後、会社員時代に部下だった女性と再会してともに過ごすも、その彼女も亡くなり、現在は気ままなひとり暮らしを送る。