大関・琴櫻と佐渡ヶ嶽親方(写真・時事通信フォト)

大関・琴櫻と佐渡ヶ嶽親方(写真・時事通信フォト)

執行部の世代交代を見据えた動き

 もちろん、これで完全に相撲界を離れるということではなく、「専属評論家を務めるスポーツ報知での連載も続くし、北の富士さんが体調不良から回復しないなか、後任のNHK大相撲中継の専属解説者となる話もある」(スポーツ紙デスク)という。そして、将来にわたり相撲協会への影響力を残すシナリオも考えられているとされる。

「今回、『尾車』の名跡を戻した佐渡ヶ嶽部屋には、『佐渡ヶ嶽』をはじめ『粂川』『白玉』『浜風』『秀ノ山』『荒磯』と6つも年寄名跡がある。ここに『尾車』が加われば7つになり、さらに独立した元大関・琴欧洲の『鳴戸』、孫弟子の『押尾川』(元関脇・豪風)と『中村』(元関脇・嘉風)も加われば、理事を送り出せるだけの票になる。そうして二所ノ関一門内で盤石な体制をつくり、将来的に佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)を理事長に押し上げて、尾車親方が影響力を持つという絵を描いているのではないか。

 八角理事長は現在60歳。今年理事選があったばかりですが、理事長はやれて1期(2年)まで。ナンバー2の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)はその1歳上の61歳だし、他の理事を見ても境川親方(元小結・両国)、芝田山親方(元横綱・大乃国)、勝ノ浦親方(元前頭・起利錦)も61歳。数年すれば執行部の顔ぶれが大きく変わるのは確実です。

 現在、部屋付き親方を多く抱えて勢力を伸ばしているのが出羽海一門の藤島部屋(元大関・武双山)と木瀬部屋(元前頭・肥後ノ海)。52歳の藤島親方は将来の理事長候補といわれているが、それに対抗しようとしているのが55歳の佐渡ヶ嶽親方が率いる佐渡ヶ嶽部屋。尾車親方はそこに隠然たる影響力を行使しようとしているのではないか」(前出・スポーツ紙デスク)

 5月場所は初日に1横綱4大関が全員敗れるという昭和以降で初の出来事が起きた。横綱・照ノ富士と大関・貴景勝は2日目から休場となった。昭和以降2位のスピード出世(所要6場所)で新三役に昇進した大の里が照ノ富士をすくい投げで破るなど土俵の世代交代を予感させる場所が始まったが、土俵外でも世代交代が進もうとしているわけだ。

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