降圧剤を断薬するまで
2017年に坂東医師のもとを訪れたラジオディレクターのAさん(63)が語る。
「当時の血圧は160/110で処方薬が効かない状態でした。坂東先生の指導では、最初は処方されている薬に降圧剤が追加されました。『半年間、いったんきっちりと血圧を下げたうえで徐々に薬を減らしていく』という方針でした」
Aさんは並行して管理栄養士による指導で減塩・減酒などの生活習慣の改善を行ない、半年後には130未満まで数値を下げられた。
「その後は『降圧目標値の120未満を3日以上継続できたら薬を少しずつ減らす』という生活を続けました。季節による変動で薬が増える時もありますが、毎年、比較的数値が落ち着く夏場は完全な断薬ができています」(Aさん)
ただし、断薬に際しては注意点がある。坂東医師は、「高血圧治療で大切なのは合併症などの予兆を見逃さないこと。2か月に1度は対面での受診をしてもらっています」と付け加えた。
適切な治療を受ければ“薬を減らして血圧も下げる”は実現可能なのだ。
※週刊ポスト2024年5月17・24日号