2022年の水原。ヘビースモーカーで、歯並びは悪かった
大谷の稼ぎが10倍になったタイミングで
大谷の2020年の年俸は70万ドル(当時のレートで約7500万円)。新型コロナによる短縮シーズンで、実際の支給額は半額以下の26万ドルだった。2018年に23歳で渡米した大谷には、25歳未満の海外選手の年俸を低く抑えるMLBの労使協定が適用され、3年目まで球団側が年俸を決められるため低い年俸に留まっていたのだ。それがメジャー4年目を迎え、新たに2年契約を結んだ2021年の年俸は300万ドル(同約3億3000万円)。支給額で言えば10倍以上に増額していた。前出・在米ジャーナリストが言う。
「大谷が口座を開設した当初から、水原は代理人や経理担当者たちに対し『口座はプライベートなものだから誰にも触れられたくないと大谷が言っている』と説明し、代理人たちからのアクセスを阻止しようとしていた。水原が年俸増額のタイミングを虎視眈々と狙っていた可能性はあると思います」
水原の一連の行動は、大谷の年俸が上がった2021年にたまたま重なったのか。もしくは大谷の口座に大金が振り込まれることを見越し、ギャンブルで羽目を外したのか。奇しくも、大谷が突如、暗号資産取引所『FTX』のグローバル・アンバサダーに就任したのも2021年の11月だった。
224億円勝って、288億円負けた
大谷口座の履歴を捜査当局が調べたところ、水原は2021年12月から24年1月までの3年間にわたり、野球以外のスポーツ賭博に約1万9000回賭けていた。1日当たり平均25回だ。1回の賭け金は10ドル(約153円)から16万ドル(約2450万円)。勝った総額は約1.4億ドル(約224億円)で、負けた総額は約1.8億ドル(約288億円)と、約64億円を負け越した。
これだけスポーツ賭博に熱中していたにもかかわらず、水原は今回の騒動が公になる直前、米スポーツ専門局「ESPN」の取材に対し「ボウヤー氏の(賭博)運営が違法だとは知らなかった」と語っていたのだ。現在に至ってもこの発言の真偽は不明のままだが、国際カジノ研究所の木曽崇所長は信憑性に疑問を呈している。
「賭博の運営を適法に行なう業者は、必要なライセンスを州政府から取得しなければなりませんが、ボウヤー氏はいかなる州でも取得していないはずです。そして、スポーツ賭博で八百長やイカサマを仕組むため、大谷選手に近い水原被告から大谷選手の登板日や体調などの情報を引き出す狙いがあったのではないかと考えています」