「大の里は身長192センチ、体重181キロで、照ノ富士(192センチ、176キロ)を凌ぐ恵まれた体であることに加え、突き押し相撲が目立っているが、本来は右四つに組み止めてからの寄り切りを得意としている。学生時代は突っ張ってから相手を起こして右を差す相撲で勝ちを重ねていた。
3月場所で新入幕優勝を果たした尊富士(身長184センチ、体重143キロ)は突き押しが多く、2人を比べても、体の大きさも取り口も大の里が有望。協会が日本人横綱候補として期待するのは自然なことでしょう」(前出・相撲ジャーナリスト)
その大の里の「大関昇進」がどうなるかだが、明文化された基準はないので、様々な情報が飛び交っている。ある若手親方が言う。
「目安として“3場所連続で三役を務め、その合計が33場所”とされているが、過去にはそれを満たさずに32勝で昇進した朝乃山、正代、稀勢の里、豪栄道のケースがある。また、2015年5月場所後に大関に昇進した照ノ富士は『前頭2枚目8勝→関脇13勝→関脇12勝』の成績だった。3場所33勝ながら三役という条件は満たしていなかったが、直前場所で優勝したこともあり、北の湖理事長が推して“3場所前が平幕だ”の声を抑えて昇進させた。
大の里は今場所が新入幕3場所目での新小結。“三役で3場所33勝”を満たすとなると、最短でも9月場所後の昇進しかないが、大の里は新入幕から11勝(前頭15枚目)、11勝(前頭5枚目)のハイペースで勝ち星を挙げている。しかも2場所とも上位陣と対戦しての優勝争いを繰り広げている。新小結の今場所も14日目までですでに11勝。単独トップで千秋楽を迎えており、照ノ富士の前例がある以上は次の7月場所が大関獲りの場所となる可能性は十分にある。尊富士や熱海富士、平戸海といったホープたちも安定した成績が残せないなか、協会としての希望は大の里に一極集中という状況ですからね」
猛スピードの出世で、来場所が“特例の大関獲り”となるのか。
※週刊ポスト2024年6月7・14日号