甲子園には2年春夏、3年春夏と出場するも、優勝は叶わなかった(2004年8月撮影/時事通信フォト)

甲子園には2年春夏、3年春夏と出場するも、優勝は叶わなかった(2004年8月撮影/時事通信フォト)

「一番凄いのはプロ根性」

 高校進学では全国の強豪36校から声が掛かったが、関西から遠く離れた仙台の東北高校を選んだ。英語が話せたこともあり、海外留学に力を入れている教育方針も合致した。

 1年生秋からエース番号を背負い、2年生春夏、3年生春夏と甲子園に計4度出場。2年生夏の準優勝が最高成績だが、3年春ではノーヒットノーランを達成している。

「高校時代から練習法や投球術に独自の考えを持っていた。若生正広監督(故人)がその考え方を尊重し、指導者の考え方を押し付けなかったことで成長した」(ジャーナリストの広尾晃氏)

 2004年ドラフトで日本ハムが単独指名。当時、二軍投手コーチ(のちに一軍)で、ダルビッシュが“恩師”と慕う佐藤義則氏(野球評論家)が語る。

「入団当時は驚くようなボールではなかった。左足のステップがバラバラだったので修正したことでコントロールがよくなり、潜在能力が発揮できるようになった。もともと器用な選手で、研究熱心だった。当時からブルペンでは変化球をいろいろ投げていたが、ゲームではスライダーやカーブなどが中心でしたね」

 佐藤氏はダルビッシュが大きく成長したゲームとして2006年のシーズン終盤のソフトバンク戦を挙げる。勝てばペナント1位通過の大一番。前回の先発から中3日で6回から2番手で登板し、2イニングを無失点に抑えた。

「ブルペンでは緊張してストライクが入らなかった。勝ちゲームを引き継ぐ中継ぎの気持ちがわかった。この経験が大きく成長させた」(佐藤氏)

 日本ハムの監督だった梨田昌孝氏(野球評論家)は「才能、技術、研究心は誰もが認めるが、一番凄いのはプロ根性。打球が当たっても平気な顔して、ベンチ裏では大声で痛がっている。ファンや相手の前では弱い面を見せない。彼にはイニング途中に絶対降板させないからと断言していたが、それぐらい実力がある頼れる投手だった」という。

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