名古屋圏
路地で津波が加速
人口密集地に津波が流れ込む「都市型津波」の場合、被害をさらに増幅させる特性がある。それが、「縮流」という現象だ。
「地方の沿岸部では、広い土地に家屋がポツンとあるエリアもあるでしょう。それに対して都市部では建物が密集し、津波の“通り道”になる道幅も狭い。
すると、路地など狭いところに水が流れ込んだ際、急に水位が上昇したり、流れが速くなったりするのです。これを縮流と呼んでいます。水道につなげたホースの口をギュッと絞ると、水の勢いが強くなるのと同じ理屈です」
そうなれば、大津波警報などで示される高さを上回ったり、到達時間が早まって津波が襲い来る危険性も否定できない。
実際、東日本大震災では、市街地において津波が進む速度が時速30kmに達していたという検証結果が出ている。当然、人が走って逃げられる速度ではない。
「縮流によって高さや速度が増せば、当然威力も増します。開けた場所でならなんとか耐えられた規模だったとしても、都市部において縮流で威力が増せば、人間の力では容易に抵抗できなくなります。これも、都市型津波ならではのリスクと言えます」
津波はエリアによってその危険性がさらに上昇する可能性があることを、肝に銘じなければならない。
※女性セブン2024年6月13日号
大阪圏