銀座四丁目交差点で街頭演説を終え、聴衆らとハイタッチを交わす前広島県安芸高田市長の石丸伸二候補(左)。6月30日(時事通信フォト)

銀座四丁目交差点で街頭演説を終え、聴衆らとハイタッチを交わす前広島県安芸高田市長の石丸伸二候補(左)。6月30日(時事通信フォト)

 共同会見といいながら次の質問が出てこない。会場を見回すと「終わり?」と笑い、「それなら」と自ら某番組の記者を指名する。続く記者の質問は都知事選の善戦を受け「皆さんの期待をどうやって維持していくか」。石丸氏の答えは「国民の目として耳としてマスメディアが奮起してくれることです」。支援者から拍手と歓声が上がる。ところが「本人の意見を」と聞いても質問の意図について「なんかわかるようでわからない」と答えない。時おり左手でマイクを握り、右腕をお腹に当てる仕草を見せる。自分の気持ちをなだめようとする仕草といわれるが、それが不安なのかいらだちなのかはわからない。質問が続かず、度々司会者が質問を促していく。

 今回の選挙で問題となった掲示板の販売、配信や切り抜きなどのコンテンツで選挙がビジネスになったことについて問われると、記者に対して「今の質問は問題を矮小化している」と説明。記者たちに不用意な質問をやめ、質問の仕方や内容を考えさせるきっかけにはなっただろう。「善戦したが、もっと上をめざしたかったのでは」と問われた時は、「なんという愚問。選挙に出る以上一番上を目指さないでどうします」と声を立てて笑った。その姿に会場は拍手喝采、石丸氏はドヤ顔だ。会場にいる支援者たちが大きく反応するのは、石丸氏がメディア批判をする時ばかりだ。

 TBSの番組でも彼の態度は変わらない。公約として挙げていた「東京一極集中の是正は都民に響いたか」と聞かれ、「TBSがあんまり報じなかったので響かなかったかも」と答える。どの質問にも素っ気なく高圧的で、キャスターもコメンテーターも質問が途切れ、表情が凍りついていく。メディアを敵対視しているようだが、それが”扱ってくれなかった””報じてくれなかった”という気持ちの裏返しのようにも見えてくる。

 日本テレビの番組では、社会学者の古市憲寿氏が「批判する政治屋と石丸さん自身がどう違うのか」と問いかけるも、「堂々巡りになっている気がする」と答えない。質問に対してかみ合わない答えをする石丸氏に「石丸構文」という名前がつき、ネット上で注目され評価されたが、攻撃は最大の武器としてマウントを取りに行っているだけのような気もする。

 スパっと切り口鮮やかにメディア批判する姿にスカっとした支援者、視聴者も多く、石丸氏の表情を見ると彼らからの拍手喝采は心地良いものだったはずだ。ネット戦に強いとはいえ、今回の対応で多くのメディアを敵に回してしまっただろう石丸氏。これからの選挙をどう戦うのだろうか。

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