北京五輪では「上野の413球」を投げ抜いた

北京五輪では「上野の413球」を投げ抜いた

渥美「東京では、私こそ鴻江さんに助けられました。実は大会直前にぎっくり腰になってしまい、出場を辞退しようと思っていたほどでした。鴻江さんに毎日のように遅くまで見ていただき、なんとか間に合わせることができました。自分なりに体調管理には気を使っていましたが、やはり、何かしらのサポートを受けないと、アスリートはパフォーマンスを発揮できないことを痛感しました」

〈渥美は東京五輪の決勝・アメリカ戦のピンチの場面で、相手バッターの放った強烈な打球を弾いた味方内野手をフォローするスーパーキャッチで、「神ゲッツー」を完成させた。その陰には、鴻江の細やかなケアがあった〉

渥美「小学校の頃から腰痛で練習ができなかったり、ぎっくり腰に頻繁になるような感じでした。鴻江さんに出会った瞬間に“なんじゃ、この腰は?”と、言われてしまったのを覚えています。鴻江さんのお陰でそれが改善し、選手としても充実したプレーができるようになりました」

〈鴻江は、長年に渡ってトップアスリートの指導を行ったことで編み出した、独自の「鴻江理論」を提唱している。人を猫背型の「うで体」と、反り腰型の「あし体」の2タイプに分類し、それぞれに合った体の使い方を指導するというものだ〉

上野「私は典型的な『うで体』です。子供の頃から猫背だとよく指摘されていて、母から“もっと胸を張って歩きなさい”と言われていたんです。でも胸を張るとどうもしっくりこなくて、嫌だったんです。鴻江さんから猫背型と言われて、やっぱりこれで良かったんだと納得しました」

鴻江「それぞれのタイプに適した体の動かし方があります。逆に、タイプに合わない動かし方をしていると、ベストパフォーマンスを発揮できないどころか、故障やケガのリスクが高まってしまいます」

上野「これまでの日本のスポーツ界は、全員に同じ指導をしていた印象があります。右を向いたら右を向く、みたいな。ただ、競技を続けるためには、心が満たされ、やりがいなどを感じられないといけません。あし体なのに、うで体の動きをしても良さを感じず、続かなくなってしまう。きちんと見分けることができれば、それぞれのやりさすさや競技力の向上を感じられるはずです。

 鴻江さんの考えは、“体は違って当たり前なんだ”という前提があります。私は自分の体を知り、それに合わせた体の使い方を知っているから、選手寿命も長くいられるのです。それぞれがそれぞれの能力を発揮できると、よりスポーツ界が発展し、世界と闘っていけると思っています」

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