2023年8月、試合中、熱中症予防のため、チームメートの首を冷やす慶応の選手(時事通信フォト)

2023年8月、試合中、熱中症予防のため、チームメートの首を冷やす慶応の選手(時事通信フォト)

 たった30分の中断で復帰できるなら、中止を検討するほどではないのではと思うかもしれない。だが、ちょうどその時、応援席にいたチームの保護者が振り返るのは「ここは本当に学生スポーツ大会の会場か?」というような惨状だった。

「とにかく暑く、チアリーダーの女子生徒や、吹奏楽の子どもたちは(応援が必要な)攻撃回が終わると、バタバタ倒れるんです。意識が朦朧としたチアの子が、お友達に抱えられて席から離れると、頭から水をかぶせられたり、頬を叩かれて会話ができるか、確認されていました。こういう言い方が適切なのかは分かりませんが、戦場とはこういう感じではなのかと思うほどで、その後、回が始まるとまたフラフラ席に戻ってなんとか応援していました。選手も足がつったり倒れたりして大変ですが、応援席はずっと日向にいなきゃいけない。観客の中にも、途中で気分が悪くなり、病院に行った人もいた。見る側、応援する側としても辛いです」(チームの保護者)

 対戦相手の応援席でも、倒れる生徒や保護者が相次いだという。その試合で救急車が呼ばれることはなかったが、観戦したために病院へ行くことになってしまった人は、2人や3人では済まないはずだと話す。また、別の日に行われた試合では、審判があまりの暑さにダウンし、試合が一時中断される事態も起きたという。選手や生徒、保護者だけでなく、皆が苦しんでいるというのが実情だ。

懸案の解決スピードはこれでいいのか

 高校野球では近年、長らく課題とされてきたことが次々と改訂されており、これからも変更が続く予定だ。若く、発展途上の選手に負担が大きすぎると言われ続けてきた、投手の投げすぎ防止への効果を期待して、2020年春には1週間500球の投球数制限が導入された。2024年は、以前から告知されていた金属バットの規格が変更となるだけでなく、マウンドへ行き投手へ声をかける回数が制限され、投手の二段モーションが解禁となった。

 さらに、異常な夏の暑さも問題視され、開催時期や試合の実施時刻などについて再検討をすべきという声がこの数年、特に高まっていた。試合中の給水タイムや、足がつるなどした選手に代わる臨時代走が認められるようになったのは、そうした懸念を払拭するためのものだったに違いない。だが、選手や生徒、保護者の生の声を聞き、そして実際に球場に行ってみると、こうした施策は、現状では付け焼き刃にすらなっていないのが実態である。

 なお筆者は、今夏の高校野球大会は、東西東京と神奈川、埼玉と千葉、そして茨城で行われた十数試合を観戦したが、その全ての試合で、足がつって動けなくなる選手がいて、倒れてしまう応援の生徒たちがいた。給水タイムや臨時代走などの措置がとられていることが、高校生たちの健康に配慮していることばかりが強調されているが、現行通りの試合スケジュールを維持するための言い訳にしているのではないかとすら思えてくるのだ。

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