中学時代に競技を始め、16歳でアジア大会出場、五輪はメルボリン、ローマ、東京大会に出場したレジェンド・馬淵かの子氏(筆者撮影)

中学時代に競技を始め、16歳でアジア大会出場、五輪はメルボリン、ローマ、東京大会に出場したレジェンド・馬淵かの子氏(筆者撮影)

入水時の“しぶき”は採点の重要な材料

 すべての演技種目は3桁もしくは4桁の数字とアルファベット1文字の種目番号で表示される。例えば「前宙返り2回半蝦型」は105B、「後踏切前宙返り3回半抱型」は407C、「後宙返り2回半1回半捻り蝦型」は5253B──といった具合で、難易率は最低1.2から最高4.8まで設定されている(新たな組み合わせで最高は更新される)。

 選手は事前に演技種目を記入した「ダイブシート」を提出する。会場にもこれから演技する種目番号が表示され、審判員は回転やひねりが演技種目通りに演じられたかを採点する。

「いろいろな要素が絡むので、“厳密に正確な点数”を採点するのは難しい競技です。それでいて0.01の差で勝ち負けが決まる。つまり、1人の審判員が0.5点高くつけていたら順位がガラリと変わっていたということもある。だからこそ審判員の責任は重い。私も現役時代は何度も悔しい思いをしましたから、緊張して採点しています」

 10メートル高飛込で約2秒。この短い時間の演技で得点を大きく左右するのは入水だという。入水にはベストの場所があり、それを外れると前にかかっている、もしくは後ろにかかっていると判断される。

「決まった場所に入水すれば確実に6点以上は出ます。それに加えて回転のスピード、足先まできれいに伸びていたとか、姿勢がよかったなどをチェックします。

 入水時の“しぶき”も採点において重要な材料です。視覚的に“ノースプラッシュ(しぶきがあがらない入水)”がベストですが、水面の一点に体が垂直に入ったかは聴覚的にわかります。テレビの中継映像は演技全体がよく見えるものの、入水の音が聞こえにくいのが残念です。ぜひ、実際に会場で入水時の音も楽しんでいただきたいですね。

 美しい入水音は選手ごとに特徴があります。玉井(陸斗)君は“シュッ”という音ですね。中国人選手は“ピッ”と竹を割くような音がする。近年の国際大会で中国選手が“ピッ”と入水したら、おそらく減点する要素はほとんどありません。回転は速いし、足はきれいに伸びている。それほど見事な演技です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン