バイブルは松本清張の『現代官僚論』(c)濱崎慎治/講談社
自身を霞ヶ関、経済オタクと評する鈴木氏はいまも、「これは!」と思う政治家への政策提言を続けているという。さらに、次回作への意欲も尋ねると、次にテーマとしたいのは、官僚だと明かす。
「松本清張さんがお書きになった『現代官僚論』という本が私のバイブルでした。清張さんが昭和30年代に書いた古い本なんですけど、それを私は高校生の頃から愛読していたんです。その頃から国家の仕組みや官僚オタクだったんですよね(笑い)。
これまでも清張さんの真似をして官僚を論じた書籍は数多くありましたが、官僚凋落の時代と言われるいまこそ、現代官僚論を書いたら面白いかなと思っているんです。役人になっても安月給かつその権力も弱くなったと言われて、なり手はどんどんいなくなっている。
以前は、この国を動かしていると特別な目で見られていましたし、ある政治家の事務所に行ったら『これから日本の宝が来ます』と言われ、大蔵官僚(当時)を紹介された時代もありました。学生時代、何かこの国の役に立ちたいと考えて役人を志した人たちが、この国のあり方について毎日寝ずに考えていることを全部だめだと簡単に否定するのではなく、一度彼らの考えをきちんと聞いてみるのも意味があるんじゃないかなと思うんですよ」
政治の世界でキーマンたちに伴走し、肉薄してきたジャーナリストの取材意欲は増すばかりだ。