心的外傷後ストレス障害 (PTSD)と診断された診断書
「仕事を早く切り上げて19時頃に学校に行くと、担任に『Aくんが沖縄旅行の夜に自慰行為をした。翌朝もお尻に指を入れた。そういった動画が校内で拡散されています。前代未聞のことです』と説明されました。また、『19人の生徒が動画を所持していましたが、それらは削除させました』という報告もされました。
息子(A)からは何も聞かされていなかったので、全てが寝耳に水です。まずは息子(A)に事実確認をしなければと感じました。本人に話を聞いたところ、『ノリでやった』と言っていましたが、何かを隠しているような印象でした」(Aくんの父)
前出の通り、かねてより両親はAくんがいじめにあっているのではないかと心配していた。真実が知りたい──。息子のために両親は動き始めた。担任は“生徒たちに動画は消させた”と言っていたが、実際は全て削除されておらず、その気になればすぐに入手することができた。「萎えすぎ」「手止めんな」といった暴言をぶつけられながら自慰をする息子の映像を見て、両親は絶句するしかなかった。
息子が自らこんなことをするはずがない。それに、たとえ悪ふざけで自慰行為をしたとしても、動画を撮られて拡散されることまで喜ぶ人間がいるだろうか。両親はそう考えたが、学校側はあくまで“Aくんの問題行動”として捉えている様子だったという。
そして、11月下旬から約2か月間の別室指導が始まった。この別室指導が、Aくんの精神を本格的に追い詰めていった。
(後編へ続く)