豪ノ山(26)西前頭6。7月場所9日目、立ち合いから一気に押し出された大の里は4敗となった。過去2戦はカチ上げから押し込んだ大の里が勝利している(写真/共同通信社)
台頭する“2000年代生まれ”
なかでも最大のライバルとみられているのが、2場所連続で大の里に土をつけた平戸海だ。ともに2000年度生まれの同学年。大の里が日体大を経て角界入りしたのに対し、平戸海は中学卒業と同時に入門している。
「平戸島(長崎)初の関取。178センチ、138キロと体は大きくないが、稽古熱心は角界で一二を争う。突き押しを得意とするが、懐に入って右四つからの寄りも武器。休まずに攻め続ける取り口を大の里は苦手としている」(相撲担当記者)
大の里は日体大3年でアマ横綱となり、4年には国体優勝と2年連続アマ横綱に輝いた。アマ13冠という輝かしい実績を引っ提げて幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んだ。これに対し、平戸海は前相撲からスタートして7年目に入幕を果たしたたたき上げ。対照的な力士が大の里の前に立ちはだかる大きな壁となっている。
学士力士の存在感
その大の里に新たな刺客が現われた。日体大の同級生だった阿武剋である。大学4年では大の里に勝って学生横綱になった逸材だ。
「モンゴル出身で、15歳で来日して神奈川県内の高校で相撲を始めた。幕下15枚目格付け出しだったが、興行ビザ取得のため3場所遅れの初土俵となり、所要5場所(11位タイ)で入幕を果たしている。出世が早すぎて9月場所には髷が間に合わず、ザンバラ髪で幕内の土俵に上がることになる」(相撲担当記者)
通常なら西前頭14枚目の阿武剋と関脇の大の里との対戦は実現しないが、阿武剋が勝ち続ければ後半戦に対戦が組まれることになる。入門時から大の里と比較されることが多いため、強く意識しているという。
幕下には日体大時代の大の里の同級生だったモンゴル出身の旭海雄、同じく日体大の同級生で教員から1年遅れで転職した石崎、日大の草野、一意、中央大の風賢央といった学士力士たちが次の刺客として控えている。阿武剋との対戦が期待される一方で、大の里包囲網が広がっている。
※週刊ポスト2024年9月20・27日号