向正面のマス席に大集団が
カラテカ入江が語った「きっかけ」とは
集団の後についていったところ、1階アリーナの向正面のBマス席あたりに翔猿の四股名が入った真っ赤なTシャツの男女の集団が陣取っている。その数、ざっと50人。20近いマス席が真っ赤な一塊になっている。
トイレのために席を離れた男性に話を聞くと「翔猿関の個人応援団です。翔猿関の浴衣地のデザインから製作したサプールのTシャツなんです。これまでも何度も応援には来ていますが、これだけの団体で、それもお揃いのTシャツを作って応援するのは今回が初めて。何か月も前から準備していました」と言う。
応援団の数人に話を聞いたが「誘われて初めて来ました。全員が顔見知りではなく、知り合いの知り合いといった形でつながっています。共通しているのは翔猿関のファンということ」なのだという。
この日の翔猿の対戦相手は人気力士の若元春。2人が土俵に上がり、赤Tシャツ軍団から「翔猿~」と大声援が送られると、違うマス席から「若元春~」と声援が飛ぶ。応援タオルを掲げながら、両力士への声援合戦に館内から大きな拍手が送られるほどだった。
取組は若元春が突き出しで勝利。赤Tシャツの集団からは大きなため息が漏れた。西の花道を引き揚げる翔猿に手を振る応援団。翔猿はチラッと目をやって苦笑いしながら引き上げていった。その後はややテンションが下がり気味になってしまったが、打ち出し後は記念写真を撮るなど再び盛り上がっていた。
その応援団の中に見た顔があった。お笑いコンビ・カラテカの入江慎也だ。周囲と同じデザインの真っ赤なTシャツを着て記念写真を撮っていた。声を掛けると笑顔で写真に応じ、こう話した。
「4年前に“毛塚治虫(手塚治虫のモノマネ)”をやるガリットチュウ福島(善也)が翔猿関の化粧まわしのデザインを頼まれたりしたのがきっかけで、仲間と応援するようになりました。今日は揃いのTシャツを着て初めての応援だったが、負けて悔しい。でも楽しかったです。また来るつもりです」
そう語り、笑顔で国技館を後にした。力士たちの土俵での頑張りに対して、様々なファンが声援を送り、支えとなっているようだ。