現役時代の貴乃花(時事通信フォト)

現役時代の貴乃花(時事通信フォト)

 そうした「横綱論」を持つ貴乃花氏に、今の大の里に“足りないもの”を聞くと、こう応じた。

「大学出身なので年齢はそこそこですが、土俵を見ていると“若い”というか、怖いもの知らずですね。立ち合いから勢いに任せて体で押していく。実際に勢いもある。

 ただ、相撲人生のなかでは、どんなに調子がよくても怖いもの知らずで取れるのは1場所か2場所。そんなもんなんですよ。出世が早い人ほどそういう相撲を取るが、これから怖さを覚えていく。今はその手前なんです」

 つまりは、今後に課題が残るとする見方だ。

「今、大の里と対戦する相手でガチッと胸を合わせて組む力士が幕内に少ないんです。四つ相撲で水入りになるような力士がいない。だから(大の里は)勢いに乗って台頭できる。それが食いつかれて一度止められると、あとは“稽古の虫”かどうかになります。今はそうなる前に決める勢いがあるし、(相手は)大学を出たばかりの力士に負けちゃいけないといった気持ちで腰が引けている。

 でも、必ず怖さを覚えていくことになる。プロ同士がぶつかり合えばそうなる。今は勢いで上がれるところまで上がるという段階ですね」

失われた「学生出身」への対抗心

 大の里は日体大出身で、3月の春場所で新入幕優勝した尊富士(25)も日大出身。中学卒業後に父である元大関・貴ノ花の藤島部屋に入門するというキャリアを持つ貴乃花氏は、「学生出身力士」の増加こそ角界の大きな変化だと見る。

「中学卒業と同時に入門して“叩き上げ”と呼ばれる修行心を持って土俵に上がり、血の滲むような努力で這い上がっていく子が少なくなっています。だから大学出の有名選手が、プロになってすぐ活躍する。

 昔はプロとアマの差がいちばん大きい競技は大相撲と言われていた。私が入門した頃は、学生相撲で20も30もタイトルを獲得して鳴り物入りでデビューしても、幕下下位で負け越してしまうような状況でした。中学を卒業して3年ぐらい稽古をした幕下の関取予備軍が、“学生出身力士に負けるは死ぬが如く”という感じで向かっていった。今はそういった叩き上げの力士が入って来ていないんだと思います」

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