10代の頃の有森也実

10代の頃の有森也実

──松永さん演じるツンコは、「傍観者」となってしまった過去の自分に強い思いを残しています。

松永:「ツンコ」が抱く「傍観者の罪」のような思いは、大なり小なり誰にでもあるもの。もちろん、私にもあります。生きるのが苦しくならないよう本能的に脳がフタをするけど、きれいに消え去ったわけではなく、荷物を背負うようにずっと積み重なっている。それでも進んでいくのが、ひょっとしたら人生なのかも。そんなふうに、50代半ばになって考えるようになりました。

佐藤真弓(以下、佐藤):普段は忘れていても、ふとしたときに『あぁ、あれはああしておけばよかったんだろうか』と思い返す。そういったことは、本当にたくさんあります。実際、いっぱい間違えてきただろうし。

 でも、その場所には絶対に戻れない。たとえ戻ってやり直すことができたとしても、単なる自己満足かも知れないし、今また同じ状況になったとしても正しくできるとは限らない。今度は見て見ぬふりをしないでいられるかと言われたら、絶対にできるとは言い切れない。ときを経た分、余計にできなくなっていることだってあると思う。難しいですよね。

──誰もが傍観者になりうると、自覚し続けることが大切なのかも知れません。

有森也実(以下、有森):たとえば、動物駆除のニュースとか、私、すごく苦手なんです。でも、積極的に行動を起こすことはできなくて、つらいのになにもできない自分が嫌で、ニュースを消してしまう。ただ、大勢のなかのひとつの目になったときはなにもできなくても、自分ひとりの目としてはちゃんと責任を持っていたいし、自分にできることをする覚悟は持っていたい。

「演劇」というのは、テレビドラマや民放のニュースではなかなか扱えないテーマにも踏み込んで伝えることができる。その文化が受け継がれ、守られている。演劇の場に表現者として存在することで、傍観者である自分との折り合いをなんとか保っているんだと思う。

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト