優勝決定後、デコピンを抱きかかえる大谷翔平と真美子夫人(写真:AP/AFLO)
ヤンキースが相手でも大丈夫
ワールドシリーズに進出した場合、対戦相手はア・リーグのヤンキースかガーディアンズ。「どちらも大谷が苦手とするタイプの投手がいないのはプラス材料」とするのは、『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑』編著者である友成那智氏だ。
「パドレスとの地区シリーズでは、大谷を研究し尽くしたダルビッシュに対してだけでなく、剛速球を武器にする左投手のT・スコットに歯が立たなかった。警戒すべき左の速球派としてはヤンキースにC・ロドンがいるが、調子を落としている。若手投手主体のガーディアンズも同様で、大谷の天敵タイプがいない。
2009年に松井が対峙したフィリーズの投手陣も一流ピッチャーは右ばかりで、左はいずれもチェンジアップを武器にする投手だった。松井が苦手とする外角に逃げるスライダーで勝負する左ピッチャーがいなかったことが有利に働いたが、今季の大谷の状況も似ており、好条件が揃っていると言えるのではないか」
屈指の人気球団・ヤンキースが相手なら盛り上がりは必至だし、「ヤンキースタジアムは右中間が左中間より4メートルも近く、松井も大いに活躍した“左のホームランバッターの天国”と呼ばれる」(友成氏)という点も大谷にプラスにはたらく可能性がある。
基本的にチームの勝利がMVPの条件だが、「その場合、MVP争いのライバルはドジャースの選手になる。好調のフリーマンや大舞台に強い“10月男”のK・ヘルナンデスよりも目立つ固め打ちを見せられるかがカギ」(友成氏)となる。
シーズン終盤に入り、大谷は得点圏打率を上げてきた。パドレスとの地区優勝争いを繰り広げた9月19日以降に限れば、得点圏打率は.842。ポストシーズンでもメッツとの第1戦までの6試合で.800だ。前出・福島氏が言う。
「『50-50』を達成したマーリンズ戦での6打数6安打、3本塁打、10打点、2盗塁の活躍でシーズンMVPを決定づけた。あのバッティングと走塁、そして爆発力を見せられれば、ワールドシリーズMVPはぐっと近づく」
栄冠は目の前にある。
※週刊ポスト2024年11月1日号