国内
ベトナム人車両窃盗団

《追跡ルポ》ベトナム人犯罪グループによる車両窃盗、関東・中部の旧ビッグモーターなどで被害頻発 犯罪に走る“ボドイ”と呼ばれる不法滞在者たち

盗難された車両

盗難された車両

 昨今、ベトナム人犯罪グループによる大規模な車両窃盗事件が相次いでいる。販売店の展示車を狙う犯行の実態を、『北関東「移民」アンダーグラウンド』(文藝春秋刊)の著者で、在日外国人問題に詳しいルポライターの安田峰俊氏が報告する。【前後編の前編】

 10月8日、埼玉県警など7県警の合同捜査本部が、別件で身柄を拘束していたベトナム国籍の男たち5人を、建造物侵入および窃盗の疑いで再逮捕した。

 容疑は今年4月10日の深夜から翌朝にかけて、中古車販売大手・WECARS(旧名ビッグモーター。以下「旧BM」)新潟南店に侵入し、乗用車7台や現金を盗んだことである。

 埼玉県警によれば、被害総額は約965万円。まず7月3日にヴー・ティエン・マイン容疑者(30歳)が盗品運搬容疑で逮捕され、その後24~25歳の仲間4人が芋づる式に捕まった。犯行時には、他にも氏名不詳のベトナム人が加わっていたとみられている。

 今回、関東・中部一帯で合同捜査体制が敷かれていたのは理由がある。

 新潟の事件より前の今年1月~4月上旬、群馬・埼玉・山梨・長野の旧BM6店舗で同様の車両窃盗が頻発し、合計29台が盗まれていたからだ。

 被害車両の一部は発見されたが、約3分の2は行方不明のまま。転売されるなどして闇ルートに流れた可能性が高い。

 容疑者5人は全員が住所不定、うち4人が不法滞在者だった。

 ベトナム人の不法滞在者は通称「ボドイ」という。多くは職場を逃亡した元技能実習生たちだ。これはベトナム語で「兵士」や「部隊」を意味する言葉で、母国から遠く離れた日本で奮闘し、時には警察や入管と戦う自分たちを兵士に見立てた呼称のようだ。

 ほとんどの在日ベトナム人は善良な暮らしを営んでいるのだが、ボドイは生活の不安定さゆえか、窃盗などの犯罪に走る者も多い。事実、令和に入ってからは日本国内の国籍別外国人犯罪率はベトナムがトップであり、その大部分をボドイが占めている。

「数年前、ボドイによるブタや桃の大量窃盗も話題になりました。コロナ禍の時期は、生活に困窮して食べ物を盗む感じだったのが、近年はカネになるものを狙いはじめた。手口も巧妙化・組織化しています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト