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在宅緩和ケアを支える医師の活動に密着したドキュメンタリー映画『ハッピー☆エンド』「精一杯、自分らしく生きれば死は人生のハッピーなゴールになる」と監督

一男さん(90、写真右)は入院して治療。せん妄状態になったが、帰宅後に元気が戻った。「家が何よりの薬だった」と話す妻と萬田医師(C)まほろばスタジオ

一男さん(90、写真右)は入院して治療。せん妄状態になったが、帰宅後に元気が戻った。「家が何よりの薬だった」と話す妻と萬田医師(C)まほろばスタジオ

 芋焼酎を飲む、78歳の末期がん患者の一言で、映画館は笑いに包まれる。

「生きているうちに飲まなくちゃ」

 映画『ハッピー☆エンド』(シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか、全国で順次公開)は、余命宣告後に在宅緩和ケアを選択した5人のがん患者とその家族、彼らを支える萬田緑平医師に密着したドキュメンタリーだ。萬田医師の診療のポリシーは「患者本人が好きなように」、「本人が望むこと」を全力でサポートすること。オオタヴィン監督はこう語る。

「退院して家に帰ったら“身体にいいこと”より“心にいいこと”を優先して考えましょう。その治療で“患者さんが幸福になっているかがすべて”だというのが、萬田先生の信条です」

 萬田医師の患者たちは、薬で体の痛みをやわらげてゴルフや旅行などを楽しみ、家族に寄り添われて最期まで自分らしく自宅で過ごす。

 作中では2018年に全身がんで逝去した樹木希林さん(享年75)の講演も紹介。希林さんは自宅に戻った理由を、子供や孫にとって死を日常にしてあげたかった、そうすれば死が怖くなくなり、人を大事にするようになるからだと語った。

「精一杯、自分らしく生きれば死は人生のハッピーなゴールになる」(オオタ監督)。萬田医師の活動や希林さんの最期は、そう語りかける。

※週刊ポスト2025年5月2日号

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