神奈川県警察本部。横浜市中区(時事通信フォト)
「この時、神奈川県警は機動隊を外に待たせていたほど緊張が高まっていました。県警職員の中には、今回の対応について”批判されても仕方がない”と漏らす人もいて、通常なら身内をかばうのが当たり前なのにと驚きました。事件の原因究明とは別のところで、県警は相当神経質になっています」(キー局社会部デスク)
こうした警察への抗議行動は、SNS上でも賛否両論だった。確かに、警察の対応がもっと早く適切だったら、このような事件はあり得なかったかもしれない。とはいえ、ストーカーの言動は狡猾で残忍だ。絶対的に正しい対処法というものはない事に加え、遺族側の行為も「やりすぎだ」といった指摘も相次いでいる。さらに、別の懸念も残ったと指摘するのは、大手紙警察担当記者。
「被害者と元交際相手は付き合ったり別れたりをくり返しており、警察としても、対応に苦慮した面はあると思います。ただ、事件性はないという警察の説明を鵜呑みにして、よく確認しないまま我々も動かなかった。そうして、誰もが見過ごすうちに、最悪の結末を迎えた。警察権力を信じ、彼らにぶら下がるような姿勢であった我々マスコミとしても、反省すべき点は非常に多いのです」(大手紙警察担当記者)
Googleマップで「臨港クズ警察署」に
この事件が大きく報じられるようになってから、SNSでは事件と関係者の属性を無理やりに関連づけるような言説もあらわれ、被害者の尊厳が傷つけられる歪んだ空間が生まれている。逮捕された容疑者と面識があるという、川崎エリアで活動する現役の音楽関係者の男性は、そうしたネットでの誹謗中傷も把握しており、事件に関する報道をくまなくチェックした上で、こう断言する。
「ここら(事件現場周辺)は、確かに治安も良くないです。ヤンキーも多いし、子供が少しヤンチャでやらかすくらいは当たり前という雰囲気もあって、僕も若い頃に何度か警察の世話になってます。
彼女の家族は必死に警察を頼って、何度も助けを求めています。正直、川崎のヤンキーの痴話話だろうと蔑ろにされた、という気しかしません。川崎のヤンチャな連中にしてみれば、本当にやばいとなった時に警察から無視された、対応してくれなかったという経験はいくらでもある。臨港署に対しては、本当にムカつく、頭にくる、なくなってほしいと思いますし”臨港クズ署”に”返し(仕返し)”をするぞと息巻く若い連中もいます」(被害者、被疑者を知る音楽関係者の男性)