神奈川県警では「ストーカー被害で悩んでいる方へ 早めのご相談を!」と呼びかけている(神奈川県警公式HPより)
それから間もなく、Googleマップ上に記された「臨港警察署」の名称が、何者かによって「臨港クズ警察署」と改変されていた(現在は修正済み)。怒りに震える関係者なのか、事件をニュースで知っているだけの一般人、それとも愉快犯的な第三者の犯行かは不明だが、神奈川県警の対応に不満を持つ人は、想像以上に多いかもしれない。前出、警察担当記者が続ける。
「神奈川県では過去に何件も、全国ニュースになるようなストーカー殺人事件が起きています。そのたびに法律の不備が指摘されたり、警察の対応が問われる経緯が明るみに出ました。そういったこともあって、また神奈川県警か、という声は内外から噴出しています。そもそも、今回逮捕された容疑者の居場所について、県警はマスコミ向けに”居場所は把握している”とか”コンタクトもとっている”と、あとから知れば”嘘っぽい”話を出していた。事実は、すでにその頃、男は姉のいるアメリカに国外脱出していたのですが、これも被害者の親族が男の親族に”カマ”をかけたことで偶然、判明しています。こうした事実がどんどん報じられ、神奈川県警の信用が落ち続けているのは確かです」(大手紙警察担当記者)
被害者が判明し容疑者も逮捕された。これまでに容疑者が「ストーカー行為」を認めたり、容疑者の家族が「(被害者を)殺してしまったかもしれない」と警察に告げていた事実も発覚している。こうした現状を受け、全国の警察を管理する警察庁が、神奈川県警の一連の対応について問題がなかったか、検証チームを立ち上げるとも報じられた。
なぜ容疑者は犯行に及ぶことができたのか、事前に止められる可能性はなかったのか、詳しい経緯の解明が待たれる。繰り返されるDVやストーカー被害について、どのような対応が有効なのか。誰でも被害者になる可能性があるし、身近な人が加害者になるかもしれない。そして、その人がどんな仕事をしていても、どんな育ちや暮らしだろうと、危害を加えられてよいなどという理屈はないはずだ。誰もが穏やかな生活を送ることができるように、もう一度、真剣に社会全体で考える必要があるのではないか。
送検のため神奈川県警本部を出る容疑者を乗せた車。5月5日(時事通信フォト)

