憔悴した様子で車に乗り込む永野芽郁
旬のタレントを起用するキャスティング力
コピーや音楽、映像などに加え、話題作りや独特のセンスでタレントを起用し、「広告がうまい」と評価されてきた「サントリー」。特にタレントのキャスティングについては“チャレンジ”もしてきたものだ。
CMコンテストの審査員を務める放送作家でコラムニストの山田美保子氏は次のように語る。
「『サントリー』のCMでもっとも優れているのは旬のタレントをスピーディに起用するキャスティング力だと思います。近年では、『新しい地図』を立ち上げたばかりで、業界内が”様子見”状態だった頃の稲垣吾郎さんと香取慎吾さんを『オールフリー』に、草なぎ剛さんを『伊右衛門』のCMにいち早く起用し、広告関係者や芸能関係者をアッと言わせたものです。
昨年9月には『クラフトボス』の『宇宙人ジョーンズ』シリーズに、『不適切にもほどがある!』(TBS系)で世間に『歌もイケる』ことを周知させた河合優実さんを起用し、小泉今日子さんの『なんてったってアイドル』を歌わせたことも話題になりました。また、25歳以上の人気タレントに出演が限られる酒類のCMでも25歳になったばかりの上白石萌音さんや広瀬すずさんをビールのキャラクターに起用して話題になりました。
直近では、『オールフリー』のCMで原田知世さんに、昨年の『M-1グランプリ2024』で準優勝に輝いたバッテリィズを組ませたり、『生ビール』の新プロジェクトにBE:FIRSTのJUNONさんとLEOさんを起用したりしています。やはり圧倒的に速いし、センス抜群なのです。両CMについては『令和ロマンやRYOKIにしなくて本当に良かった』との声が一部の広告関係者から挙がっていますね」
永野にとっても自身のブランド価値を高めるうえで、業界内外で評価の高い同社のCMに出演していることはメリットがあったはずだ。このような形で広告が削除されたのは大きな痛手だ。
もちろん、クライアントにとっても商品やブランド、サービスなどの価値を伝えるためのタレントによる広告を取り下げることは苦渋の決断だ。果たして、永野と田中の“広告削除ドミノ”はどこまで続くのだろうか。