筋骨隆々な王騎将軍(映画『キングダム』公式HPより)

筋骨隆々な王騎将軍(映画『キングダム』公式HPより)

 子育てに関わるしんどさは辛いものもあるが、それをストレートの口に出すには躊躇われる時もある。世の中のお母さんならほぼ、みんなやっていることで、やって当然と思われないかという思いもあるだろう。それをしんどいものだと思わない人もいるし、辛さやしんどさの中にも楽しさや喜びを見つける人もいる。でもその人にとってしんどいものはしんどい。しんどいのだが、辛いしんどいと言ってしまえばますますしんどくなってくる。

 KIKOさんはYahooエキスパートの藤原千秋さんのインタビューで、王騎将軍を使った理由を「自分にあの優しくて強くて怖い王騎将軍をインストールする感覚でいると、無敵に思えてくるんです」とコメント。王騎将軍はどんな時も大上段に構えて余裕をみせ、精神的に追い込まれず焦らない。こういうキャラは母親として安心感がある。揺るがない強さと、大切なものを守るという信念、愛情の豊かさがある王騎将軍に、子育てママさん世代が自分たちの気持ちを代弁させてもマイナス材料はない。弱音は吐きたくないが、愚痴はいいたい。それも笑い飛ばして、自分は頑張っている、よくやっているぞと思いたいという時に、王騎将軍はぴったりのシンボルだったのだ。

 モノマネタレントが本物をデフォルメして人々を笑わせるのと同じで、やるならその時の感情をデフォルメした方が、自分自身も笑い飛ばせる。その時の感情や思いがどれだけのものだったのか、個性的でインパクトのある王騎将軍の表情はデフォルメした感情を表現するのにぴったりだったのだろう。

 さらに王騎将軍は映画の中のキャラであって、それで大喜利を行っても傷つく人はいないだろう。自分に似たようなプロフィールを持つ有名人や芸能人なら共感できても、自分自身を重ねることは難しいし、ファンなどからクレームがくることもあるだろう。王騎将軍の画像なら、誰も傷つけることなく愚痴をユーモアに変えられたのだと思う。

 SNS上ではネガティブな炎上が多発する中、笑って楽しめる今回のようなブームは最近では珍しくなった。大沢たかおさん本人にもこの話題が届いたのだろう。8日には祭りを意識したように、Instagramに”祭”という赤い絵文字が添えられたパソコンを笑顔でのぞきこむ写真を公開。ファンによるアートやコスプレのような感覚で、このブームを楽しんだ人は多く。本人の反応によって大沢たかお祭りに暗黙の了解が得られたかのように盛り上がった。だが、その了解はあくまで暗黙のものであり、映画を制作した東宝にすればこのブームを公式に認めることはできなかった。正面切って尋ねられれば、画像の無断転載を理由に断らざるをえず、ネットミームを平和に楽しめた祭りが終わった。

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