店内の壁にサインをする大の里(「鮨正」のXより)
「子どもの頃は、夜中にトイレにひとりで行けないくらい怖がりだったんだけど、あんなに立派になってねぇ……。遊園地に行っても観覧車も乗れない、お化け屋敷も怖い。そんな臆病な子どもだったから」
しかし、そんな臆病な性格だったはずの大の里は、少年ながらに大きな決断を下す。親元を離れて、新潟県糸魚川市の中学校に相撲留学することを決めたのだ。周囲から猛反対されたが、本人の意思は固かった。
「いろんな人が最初は大反対して引き留めたけど、本人の意思が固かったって。地元にも相撲の強い学校はあったから、たしかに『どうして中学で留学させるのか』っていうのはみんな言ってたね。でも本人が監督に『うちに来い』と誘われて、それで決めたと聞きました」(別の地元住民)
地元を離れるにあたり、友人たちと“思い出の集合写真”を撮影したという。
「中学で県外に留学するから、小学6年生のとき、友達がいっぱいお別れを伝えに来て、最後に家の前でみんなで写真を撮ってたよ。まだ小学生だから、本人も友達と離れ離れになるのが一番寂しかったんじゃないかな」(また別の地元住民)
子どもながらに厳しい選択をして、いまや横綱。地元で行きつけの鮨店「鮨正」を訪れると、大の里の全身写真や手形、対戦の成績などが壁一面に飾られていた。常連客たちは、「泰輝、泰輝」と地元の雄の話題に花を咲かせて、大の里がテレビに映ると、「お~、泰輝や」と盛り上がっていた。
「唯一無二の横綱を目指します」と意気込みを宣言した大の里。すでに地元で唯一無二の愛されキャラであることは間違いない。