左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
それだけに復帰となったマウンドで起きた疑惑の判定は、ファンにとって喜びに水を差されたようだっただろう。3番で出場したパドレスのマニー・マチャド内野手でのスイング判定にスタンドはざわついた。マチャド選手のバットが途中まで大きくスィングしていたものの、一審の手は挙がらなかったのだ。その審判に不服そうに両手を上げた大谷選手も、顎を上げて不満そうな表情を見せた。彼の一挙手一投足に注目が集まり、1球投げるごとに歓声が上がったスタジアム。大谷選手は1イニングで降板し、その後バッタ―として活躍し、試合を勝利へと導いた。
大谷選手が電撃復帰したこの試合は「MLB.TV」で史上最高視聴率をたたき出したという。彼の活躍がスポーツニュースのトップで流れていたまさにこの日、水原一平は東部ペンシルベニア州アレンウッドの連邦刑務所に収監され受刑者となった。これまでに2度、出頭期限を延期し、3度目の正直でようやく出頭したのがこの日だ。希望していた居住地カリフォルニア州がある西海岸の刑務所ではなく、米大陸東部の刑務所に収監されたという。それにしてもなぜこの日?というぐらい2人の間の妙な縁を感じさせるタイミングだった。
もし水原受刑者が事件を起こさず、大谷選手の通訳のままでいたら、電撃復帰後のインタビューで選手の横に立っていたのは彼だったはずだ。「運命は偶然よりも必然である」といったのは作家の芥川龍之介だ。水原受刑者が選んだ道は必然的に彼を刑務所に送ることになった。パナソニック(旧松下電器産業)の創業者、松下幸之助は人生に起こることは何かを気づかせるためであり、「この世に起こることは、全て必然であり必要、そしてベストのタイミグで起こる」と語っている。
ベストのタイミングが何を指すのか、知るのは本人たちだけだろう。
激太りした水原被告(AFLO)