今年4月4日にアルバム『Eye Of The Storm』をリリースした「札幌のギャグ男」(公式インスタグラムより)
圧倒的に居心地がいい、という葛藤
学校のカリキュラムはガラッと変わった。皿を作ってそういう施設に売りに行ったりとか、学級の生徒だけでスキーに行ったりとか、普通の子たちが受けている授業は一切受けられなくなった。
どうしても気になるのは、周りの目だ。学校の中ではもちろん、外に出ても俺たちはずっと“そういう目”で見続けられる。それがたまらなく恥ずかしかった。
実際に通い始めて気づいたことだけど、特別学級の子たちも、自分たちが本当はどういう目で見られているのかは理解してるんだ。ワケも分からず、ただ毎日学校に来てるわけじゃないんだよ。きちんと会話ができる子もそうじゃない子も、「普通学級の人たちとは関わらないようにしよう」みたいな、暗黙の了解があった。
気づいたことと言えばもうひとつあって、それは自分が圧倒的に特別学級の方が向いているということだった。普通がいい、人気者になりたい。口ではそう言うんだけどさ、内心、こっちの方が居心地が良かったんだ。自分に似た子たちが集まってるわけだから、当たり前かもしれないけどね。
俺は“こっち側”の人間なんだ、って思い知らされてるみたいで、何とも言えない気分だった。
【プロフィール】札幌のギャグ男/1996年生まれ。北海道札幌市出身。中学校で知的障害・パニック障害の診断を受け、壮絶ないじめを経験。その後、時にはアウトローな道に進むも、HIPHOPとの出会いをきっかけにラッパーへと転身。現在は札幌市を中心に音楽活動を行っている。
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