英国政府はグルーミングギャングの「脅威を根絶する」ため、厳しい新法を導入すると発表(時事通信フォトPRU / AFP)
例えばタクシー運転手による犯行について、初めて警察と議会に対して被害申告があったとされるのが2001年。しかし初めて有罪判決が出たのは2010年で、それから2024年までに合計61件の有罪判決が出ているという。
それ以外にも、2018年から2021年にかけてグルーミング・ギャング41人に対し、複数の少女への強姦や虐待の罪でおびただしい数の有罪判決が下されているほか、2025年には、2001年から2006年の間に2人の少女を“性奴隷”にしたとして7人の男が有罪判決を受け、53件の性犯罪に関する捜査が行われた。
黙殺された少女たちの深刻な被害
「こうした判決は氷山の一角です。初めて被害申告があったとされる2001年から2010年までグルーミング・ギャングによる犯罪はほぼ黙殺されました。2011年頃から一連の事案に関する報道や、それに伴う世間の批判を受け、少しずつ犯人らが起訴されるようになってきました。しかしその歩みはあまりに遅かった」(同前)
BBCが入手した警察データによれば、グルーミング・ギャングの多くは英国で暮らすパキスタン系の男らだった。特にイングランド北部のロザラムで同様の事件が頻発していたという。この事実に対し、BBCは警察や自治体が「人種間の緊張を避けたい」として捜査に及び腰だったと報じている。実際、2004年にはこの問題を扱ったドキュメンタリー番組が、警察から人種間の対立を煽る恐れがあると警告を受け、放送延期になったこともあったという。
「問題になっているのは、スターマー氏が検事局長を務めていた2008年から2013年の間のイギリス当局の消極的な姿勢です。さまざまな理由があったにせよ、こうした態度から少女らが受けた“地獄のような虐待”が広がったのではないかと批判が巻き起こっています」(国際ジャーナリスト)
実際、別の少女の声が“無かったこと”にされていた過去についても現地で報じられている。