犯人の顔はなぜ”危険人物”に見えるのか(写真提供/イメージマート)
警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、元刑事が語る「被疑者の顔」について。
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殺人事件が起こる度にメディアで流される被疑者の顔は、目つきや人相が悪い”犯罪者”の顔をしているように見える。静岡県浜松市のガールズバーで、20代の店長と従業員の2人を両手に持ったククリナイフで殺害した疑いで逮捕された常連客の男の映像も、”危ない人物”という印象だ。
「メディアなどで使われる被疑者の顔写真は、危険人物にみえる、悪くみえるようなものが使われやすいこともある。こいつはホシという先入観が見る側にあるからね。被疑者写真もそうだ。被疑者写真の顔は犯罪者の顔とよくいわれる」と、長年、凶悪事件を担当してきた元刑事S氏はいう。被疑者写真とは、逮捕され被疑者となった人物を警察で撮影した写真のことだ。その写真を世間一般が目にするとすれば、それは指名手配犯の写真だろう。指名手配犯のポスターに並ぶ顔は、いずれも凶悪犯にしか見えない。その理由をS氏は「人間悪さをすると明らかに表情に出るからだ」と話す。
「特に事件を起こしたばかりの犯人は顔を見ればすぐにわかる」と、S氏は数多くの凶悪事件を捜査してきた経験から語る。他の元刑事らからも「殺人事件を起こした犯人は、独特の顔をしているから見ればすぐにわかる」と聞いたことがある。どの元刑事も一番にあげるのは”目”、「目が違う」という。その目をS氏は「イってしまっている目だが薬をやっているような目ではない。血走っている目、焦点が合っているようで合っていない目だ」。逮捕され、護送されていく時の被疑者の映像ではよく見えないが、元刑事らの話によると被疑者らの目は普通とは違うらしい。
現行犯逮捕なら被疑者が犯人と認識でき、その場で血走った目をした被疑者に対することになると想像がつく。しかし逃走されてしまえば時間が経過する。被疑者も幾分落ち着きを取り戻しているだろうから、目の違いはわからないのではないか。「何年も逃亡し、日常生活を送っているような被疑者なら目の印象は変わってしまうだろう。だが短期間の逃走なら被疑者は”犯罪者の目”をしている」とS氏はいう。
目以外に犯人だとわかるようなものはあるのかと聞けば、「ピンとくるというのはある。うまく表現ができないが、普通じゃないというか、なんか感じるものがある。刑事の勘というものだろうか。もちろん顔や目の違いだけ被疑者とするのでなく、あらゆる捜査をやった上で取調べに入る。自分の印象だけで決めつけてはいけない。無実の人間を犯罪者にはできないからね」(S氏)。