7月30日深夜、バンを入り口に置いて荷物を搬入していたA氏
町長から届いていた「督促状」
「今年に入ってから、一部の従業員の給料への未払いが続いているんです。未払いが続いたある日、痺れを切らした従業員が『いつもらえるんですか』と聞くと、A氏は開き直ったように“会社は潰れる”“国からもらってください”といったことを言い出した。
それからは『7月30日以降の客は全てキャンセルしろ』『それ以降はここには入れないからね』などと従業員に説明がされました。そしてなぜか、『町にはバレないように、ホームページは直前までそのままにしておく』などと、町が運営する『池田温泉』に黙って、レストランや宿泊施設を閉める計画をスタートさせたんです」
なぜ町に黙って“夜逃げ”を図るのか——その理由のひとつは、A氏のもとに届いていた「督促状」だったようだ。NEWSポストセブンが入手したこの督促状には、池田町長からA氏に当てて、こう書かれている。
〈5月分までの施設使用料等の未納が7月25日時点で2,288,097円ございますので、(中略)7月31日(木)までに金融機関または役場会計課にて納入していただきますようお願いいたします〉
「A氏は『町が客を集めないから悪い』というようなことを言っていました。未納金についても払う気がないといった態度で、納入の期限までに“夜逃げ”する手筈を整えたんです」(前出の従業員)
そして温泉の定休日である7月30日、A氏は冒頭の描写のように“夜逃げ”を遂行したのだった。翌日、人影のない新館の入り口には、担当弁護士の名前とともに、次のように記された一枚の紙切れが貼られていた。
〈株式会社たち川は、事業を停止することとなりました〉
〈株式会社たち川が占有していた場所及び当該場所内の動産については、当職らが専有管理いたしますので、無断の立ち入り及び搬出等をすることを固く禁じます〉